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高齢者にとって、転倒することは、そのまま要介護の状態に突入してしまう可能性のたかい危険なことです(要介護状態になるきっかけの9%が転倒)。医療費という面からみても、なんと、年間で3,000億円が、転倒への対応のために使われています。
転倒を防止するには、足腰の筋力をアップすることが求められます。これを怠ると、サルコペニア(筋力がどんどんなくなっていく)という状態になります。この結果、疲労が抜けなくなり、冷え性になり、食欲も失われたりします。
日本でサルコペニアに該当する人は、60~70歳で5~13%、80歳以上では11~50%にもなります。少しでも長く健康でいるために、また、要介護状態になっていても、それ以上、大変なことにならないために、体操で筋肉を鍛えることが大事なのです。
しかし、高齢者によっては、もはや、ずっと立った状態での体操ができないこともあります。そんな人のために、福岡市健康づくり財団が、座ったままで、足の筋肉を鍛える体操を考案し、動画で公開してくれています。この動画は、40万回以上も再生されており、すでに多くの人が参考にしているものです。
こうした体操をみせると「軍隊みたいで嫌だ」という高齢者に出会うことがあります。また「なにをいまさら」という態度で、本当は、少し興味があっても、人前で体操をすることに嫌悪感を感じる高齢者もいます。
介護の現場にいると「高齢者のプライド」が邪魔をして、健康によいことでも、それを実行できないケースはたくさんあります。そうしたときは、逆に「高齢者のプライド」に寄り添うしかありません。
つまり、たとえばこの動画にあるような体操をしてもらいたい場合「高齢者のプライド」からすれば、動画をみて体操をしている自分がカッコ悪いわけです。
であれば(1)誰もみていないところで体操できるような環境を整えてあげる(2)体を鍛えることを楽しみに感じてもらえるようなゲーム性を取り入れる(3)鍛えることは手段で、別に、旅行などの目的を設定する、といった対応が求められるでしょう。
面倒かもしれませんが「高齢者のプライド」は、無駄に傷つけないようにする必要があります。同時に、高齢者が自立して楽しい人生がおくれるような健康のサポートは、介護を大変なものにしないためにも大事でしょう。
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