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足浴(そくよく)とは、一般には足湯(あしゆ)とも呼ばれる、足だけをお湯につけるケアの方法です。介護という文脈では、なんらかの理由で、入浴できない要介護者の、足(下肢)だけをお湯に入れるという形式で、広くケアのひとつとして行われてきました。
足浴の効果に関する調査・研究も多岐にわたっています。中心は、身体を清潔にしておくことです。しかし、それ以外にも苦痛の緩和や睡眠の質の向上、さらにはコミュニケーションのきっかけ、心理的ケアとしての意義まで、多くのポジティブな報告がなされています。
こうした可能性の中でも、足浴が転倒予防になるという報告は、特に注目に値します。足浴によって足関節の柔軟性が向上する可能性があり、それが転倒予防になるという指摘(本多, 2010年)があるのです。もちろん、足浴だけで転倒がなくなるわけではないので、他の転倒予防と組み合わせる必要はあります。
ただし、一般的な入浴と同じでリスクもありますので、そこは十分に注意しましょう。心配なら、ヘルパーやケアマネへの相談も忘れないでください。足浴も半身浴も、介護のプロにとっては日常的なものなので、ベテランの意見は必ず参考にしてください。
様々な効果が期待できる足浴は、慣れると、準備から片付けまで15〜25分程度で終わらせることができます。ただし、バケツにお湯を用意したり、しゃがんだ姿勢を維持する必要性など、介護者にとっては、身体的な負担(腰への負担)は結構大きいという点には注意してください。
足浴に関する基本的なことは、準備すべきグッズと合わせて、以下の動画で学べます(6:42まで)。特に、100円ショップで手に入る、ペットボトルに装着できるシャワーヘッド(ジョウロ)は便利です。また、バケツ(洗面器)の下にしくレジャーシートは、新聞紙でも代用できますが、これも100円ショップで買えるので、そちらのほうが楽かもしれません。
全身浴・半身浴をしておけば、足浴はいらないという誤解があります。動画を見てもらえればわかるとおり、足浴は、身体を清潔に保つということだけでなく、実質的には足のマッサージという意味も強いのです。
要介護者と、ちょっと関係性が悪くなったときなど、足浴によるコミュニケーションが効果があることもあります。介護のプロ任せではなく、介護者(家族)としても、試しに、一度はやってみたいものです。
※参考文献
・本多容子, et al., 『ケアハウス入居高齢者に対する足浴が歩行に与える影響の検討 一転倒予防の観点から一』, 日健医誌19(2):70−75,2010
・遠藤明美, et al., 『足浴実施と看護師・介護者の身体的苦痛や疲労に関する調査』, 吉備国際大学研究紀要(医療・自然科学系), 第25号(2015年)
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