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残念なことですが、高齢者の虐待は、年々増えています。これは、介護が必要な高齢者が増えたということが背景にあると思われます。こうした状況を受けて、日本全国で、虐待防止の研修などが行われています。
そんな中、神戸市が、介護のプロ向けの研修動画を公開してくれています。26分と長めの動画ですが、事例も豊富でわかりやすく、とても優れています。介護のプロのみならず、一般にも広く見られるべきと考え、取り上げます。
なお、この動画には「あるべき理想的な介護」という回答のようなものはでてきません。事例を見て、そのどこに問題があるか、自ら考えるための資料として利用されることを考えているようです。
この動画で上手に表現されているのが、なにげない日常の対応が、徐々に虐待までエスカレートしていく怖さです。自分ではそれと気づかないうちに虐待に至ってしまうプロセスに注目してください。それは本当に些細なことです。
虐待に至る背景にあるのは、むしろ善意だったりもします。虐待は「良かれと思って」発生してしまうからこそ注意したいのです。この動画に登場する人物も、普通の人々です。「虐待なんて、自分はしない」と思っているなら、むしろ危ないわけです。
そもそも、この動画の中で表現されている行動のどこが虐待に当たるのか、まったくわからない人もいるかもしれません。その場合は、周囲にいる介護のプロなどにも、この動画を見てもらい、どこが問題なのかを教わるとよいと思います。
一般的な研修では、だいたい「理想的な対応のしかた」がでてきます。それを見ると、現実に介護をしている身としては「そんなにうまくいかない」と文句を言いたくなります。
この神戸市による研修動画は、その点に配慮して、あえて理想を示さずに、自分で考えさせるという構成になっています。回りくどいようにも感じられますが、自分で考えることにより、自分自身の行動を振り返るきっかけになることを目指しているのでしょう。
自分の行動はよく認識していなくても、他者の行動であれば、客観的に考えることができます。動画の作成が簡単・安価になりつつある時代にあって、こうした教材は、今後も増えていくでしょう。
※参考文献
・厚生労働省, 『平成25年度 高齢者虐待対応状況調査結果概要』
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