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無理に力をかけないで、要介護者の身体を起き上がらせたりするためには「てこの原理」を応用すればよい・・・とはよく聞きます。ただ、実際に時分でそれをやろうとすると、これがなかなか思うようにいかないのです。
そこで、ヘルパーの動作などをよく観察したり、ヘルパーから教わってみたりもします。それでも、やはりうまくいかなくて「ああ、自分には才能がないんだ」といったふうに、自信を無くしてしまう人も多いのではないでしょうか。
そうしたときこそ、プロの技を動画で見て、学びたいところです。特に、動画の場合は、1つの動作をなんども繰り返して見るのに適していますし、解説もついているものを選ぶと、非常にわかりやすいです。
以下の動画は、ベッドの上で(とくに身体が大きい人であっても)上手に起き上がらせる方法に関するものです。実際にやってみましたが、数度でコツがつかめて「ヒョイ」と起き上がらせることに成功しました。15万回以上再生されている動画なので、きっと多くの人に参考にされている動画なのでしょう。
人間の知識は、言葉で表現することができる知識(=形式知)と、言葉では表現しにく知識(=暗黙知)の2つに分かれます。例えば、料理のレシピは形式知ですが、自転車の乗り方といったものは暗黙知になるでしょう。
そして、介護の技というのは、プロにとって、その多くが典型的な暗黙知だったりします。ですから、素人としてプロからその技を教わろうとしても、プロとしては、自分がどうやってその動作を行っているのか、言葉では説明しにくいのです。
実は、教育の世界では、こうした暗黙知を、なんとか上手に言葉にして形式知とすることが大事と言われています。そうしないと、教育の効率が高まらないからです。
今回紹介した動画でも、中で「骨盤を押さえながら、上半身を弧を描くように」というあたりが、本来は暗黙知であるところが、形式知になっています。動画もついているので、もっとわかりやすいです。
こうした動画で学ぶ体験は、実は、普段の仕事にも応用できます。まず、「自分にはとても無理だな」と感じるようなことも、上手にコツを教えてもらえたら、意外と簡単にできたりします。このとき「できた!」という喜びが、もっと学びたい(喜びを感じたい)という学習のモチベーションにつながるのです。
であれば、例えば、自信を失っている部下や後輩というのは、自分が仕事のコツを上手に言葉にして伝えてやれたら、もっと能力を発揮できるかもしれないのです。このように、暗黙知を形式知に変えることで、現場の学習を推進するという方法は、トヨタ自動車をはじめとした多くの日本メーカーの伝統だったりもします。
普通に生きていると、とにかく自分が新しい能力を手に入れるために精一杯で、こうした暗黙知を形式知にするという作業を怠りがちです。しかし、ここが得意になると、部下や教育の上手い上司になっていくことができます。そして、そうした上司が増えると、成長する組織ができあがるというわけです。
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