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藤川氏は、小学校の教員から、詩作・文筆活動の世界に入った人です。認知症(アルツハイマー型)だった母親を24年にわたって介護しています。母親が亡くなるまで、ほとんど人生の半分近くを介護していた計算になります。
勤務先の小学校のある長崎から、実家の熊本まで、5時間もの時間がかかったそうです。父親がまだ生きていたころは、1ヶ月〜2ヶ月に1度程度の訪問で済んでいた対応も、父親が亡くなるころには、毎週のように、この5時間の距離を超えて、母親を長崎まで連れてきていたと言います。
その藤川氏が、自ら『親ゆえの闇』という詩の朗読をしている動画があります。淡々とした朗読なのですが、背後にある体験の壮絶さから、言葉に説得力があり、引き込まれます。
ただ辛さの中に落ち込んでいくのではなく、冷静に自分を見つめ、周囲の助けを求めていくことの大切さを訴えています。6分程度の短い動画ですので、よろしければ、見てみてください。
藤川氏の詩の中には、母親を介護施設に入れる話があります。私たちが親を介護施設に入れるとき、どうしても、親を「姥捨山」にやるような、後ろ暗さと戦うことになります。必死に「自分の生活を考えると、これも仕方がない」と自分に言い聞かせるのですが、泣いてしまいます。
いつも「もっと、親に優しくできないものだろうか」と、私たちは思います。それと同時に『親ゆえの闇』がまた、私たちを捉えてはなさないのです。明るい心と、暗い心がせめぎ合うのが、介護なのでしょう。それにしてもなぜ、こんな苦悩が、私たちに与えられるのでしょう。
これをポジティブに考えるのはとても難しいです。しかし、もしかしたら、こうした苦しみが「極限」に近いものだからこそ、それでもなお生きようとする人間の尊厳が感じられるのかもしれません。
苦しくても、とにかく生きるということは、尊いです。理由などなくても、私たちは、命の価値を理解しています。藤川氏の動画や詩からは、苦しみの中にあっても、そうしたポジティブな方向に物事を考えるための「ヒント」のようなものがもらえます。
ただ、そんなふうに感じられることも(たまに)ありますが、それでも日々が辛いことには変わりがありません。せめて、その辛さを誰かと共有し、少しでも介護に向き合うときの孤独感を紛らわすことができたらと思います。
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