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低所得の高齢者に対する介護費補助を縮小(ニュースを考える)

介護費補助を縮小

また一つ、日本の社会福祉が悪いほうに修正されましました・・・

所得の低い高齢者向けの介護補助の一部が縮小されることになりました。1人あたり月額にして2万3千円の縮小のようです。以下、日経新聞の報道(2016年1月8日)より、一部引用します。

厚生労働省は8月から、所得が低い高齢者向けの介護費用の補助を一部縮小する。補助が減る可能性があるのは住民税が非課税となっている世帯で、遺族年金や障害年金を受け取りながら介護施設で暮らす人だ。収入の基準に当てはまると、個室の場合で居住費・食費の補助が月6.5万円から4.2万円に減る。自宅で介護を受けながら暮らす高齢者との公平性を確保する。

財源が乏しいことは理解できます。もはや限界です。しかし、順序として、こうした弱者救済のところから手をつけるというのは、本当に正しいことなのでしょうか。これと並行して、公務員の給与が、平均年収で5万9千円引き上げられる案が通常国会に提出されるようですが、なんとも悲しい気持ちになります。

お金がない要介護者の対応を誰がするのか?

この改定によって、お金がない要介護者の中には、施設から出なければならなくなる人が出るでしょう。そうした高齢者の中には、自宅と呼べるものがなく、介護施設を実質的な自宅として暮らしている人が多数います。

これ、介護施設から出ていってもらうことになったら、誰が対応するのでしょう。実際は、介護事業者が、次に暮らす場所を探してあげたりするのでしょうか。要介護者に認知症がある場合、そのまま、どこかで一人で暮らせるのでしょうか。

介護事業者からすれば、こうした要介護者を「追い出す」ことは、ホームレスを生み出すことになります。そういうわけにはいかないということで、介護事業者は、赤字覚悟で、こうした要介護者への介護を続けたりもします。仮に「追い出す」にせよ、ホームレスにならいように、様々な手配を余儀なくされるわけです。

実際に、多くの介護事業者が、支払い能力のない要介護者に対する対応を「ボランティア」で行っています。しかし、そういうことを続けてきた結果が、昨年の、介護事業者の大量倒産につながっていることは無視できません。今回のような形での介護費補助の縮小は、間接的に、介護事業者の収益を悪化させるものだという視点は絶対に必要です。

これは自分たちの未来を悪化させるということです

こうしたニュースは、多くの現役世代にとって、関係がないことのように思えるかもしれません。しかし、誰もが年老いて、いつかは介護が必要になります。数千万円〜1億円の貯金があれば、将来、貧困に苦しむことはないと思われます。

ただ、そんな貯金のある高齢者になることは、とても難しいことです。また、仮に貯金があったとしても、インフレになったり、長生きしすぎるだけで、すぐに貧困化します。高齢者になると、仕事を見つけるのも難しく、一度貧困化すると、そこから抜け出すのは大変です。

今回のような介護補助の改正は、長生きしたときの自分が食らうことになる改悪です。こうしたことを「はい、そうですか」と通していて、苦しむことになるのは、20年〜30年後の自分です。そんなに先の話でもないのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『厚労省、低所得高齢者の介護費補助を縮小 8月から』, 2016年1月8日
・日本経済新聞, 『公務員給与2年連続で引き上げ 人勧完全実施決定』, 2015年12月4日
 

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