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介護サービスの自己負担、実質2割の時代まであと少し

介護サービスの自己負担、実質2割の時代まであと少し

介護保険の構造

介護保険は、40歳から強制加入となります。いざ、介護が必要になったときに、受ける介護サービスについて、自己負担1割(残りの9割を介護保険が支払う)で受けられるというのが仕組みです。実際には、自己負担の割合は、収入に応じて1〜3割の範囲で変わります。

それでも、収入や資産があまりない人の場合は、今も自己負担1割が維持されています。しかし、高齢化が進み、介護を必要とする人が増えていくにしたがって、いよいよ、国の財源も厳しくなってきています。

その結果、自己負担1割というところを変更し、実質2割とすることで、財源難に対応しようとする動きが出てきています。ただ、1割から2割への変化は、例えばこれまで毎月3万円かかっていた人であれば、それが6万円と2倍になることを意味しています。

2021年4月より実質2割の時代が始まる?

次回の介護保険制度の改正は2021年4月からとなっています。当然ですが、この改正に向けた議論が開始されています。その議論の中で、自己負担を実質2割とする案が出ています。以下、女性自身の記事(2019年10月3日)より、一部引用します。

’21年4月に施行される介護保険制度の改正にむけ、8月29日に厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会で議論が始まった。3年に1度、制度を見直している審議会は、年内までに議論をまとめ、その結果を受け、来年の通常国会で法案が審議される。どんな改悪プランが検討されているのか――。

「介護保険制度が始まった当初、要介護認定された高齢者が介護サービスを利用する場合、年収に関係なく、自己負担は1割でした。ところが’15年には280万円以上の年収のある人が2割負担とされ、昨年には年収340万円以上の人が3割の負担とされました。今回の審議会では、2割負担や3割負担の対象者を増やすことが議論されています。とくに2割負担については、厚生年金受給者の平均年収でもある年収190万円以上ある人を対象にする案が具体的に出ています」(後略)

この先に考えられる大きな改革

医療保険が一般に3割であることから、介護もいずれは3割というところに至るでしょう。所得などに応じて自己負担の割合を下げるといった制度は、おそらく、無くなっていく可能性が高いと考えられます。まずはそうして、医療介護の自己負担は、一律3割という時代になるでしょう。

それでも、高齢化の速度には全く対応できず、国の財政難は続きます。そうなると次は、さらに自己負担を高めないとならなくなりますが、いきなり一律4割とするのは困難でしょう。ここには2つ考え方があって、過去のように収入や資産のある人を4割とするやり方と、85歳以上といった特定の年齢以上の人を4割とするやり方です。

収入や資産のある人を自己負担4割とする可能性が高いでしょう。ただ、それでは足りない場合、要介護出現率の高い85歳以上は4割という具合に、もっとも介護サービスを使う人たちからの徴収が増やされる可能性もあります。恐ろしい話ですが、そうでもしないと破綻してしまうという状況が、あと数十年は続くということは避けられない現実です。

※参考文献
・女性自身, 『厚労省で審議中! 年収190万円から要介護の負担率が倍に』, 2019年10月3日

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