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生活保護の高齢者世帯がどんどん増えていく・・・

生活保護の高齢者世帯がどんどん増えていく・・・

増え続ける高齢者世帯の生活保護

元大蔵官僚で経済学者の野口悠紀雄先生が、2040年の生活保護世帯に関する記事を発表しています(DIAMOND online, 2019年9月19日)。この記事の中でもっとも重要な指摘が「将来の高齢者世帯の保護率は、現在の25~54歳程度の年齢層の非正規率になると考えてよいだろう」というところです。

非正規労働者の多くは、収入が不安定になりやすいということだけでなく、退職金も期待できません。退職金の平均は2,000万円程度とのことなので、これがあるのとないのとでは、老後の生活が全く違ってしまうでしょう。

野口先生は、このまま行けば、2040年には、高齢者の生活保護は10.9%程度になると予想しています。これは現在の2.9%と比較して、約4倍という数字です。今後の日本では、高齢者の生活保護は当たり前のものになっていくということです。しかし、そのための財源には大いに不安があります。

常識だったことが大きく変わる

現在の高齢者は、高度成長期に正社員(またはその配偶者)として活躍し、退職金もしっかりもらえた世代です。現役時代にローンを組んで買った家は、買った時よりも高い価値になっていることがほとんどで、いざとなれば、その家を売ることもできます。

これに対して、20年後の高齢者の多くは、お金が足りない状態にあります。そもそも現役時代から、かつての世代ほどにはお金がもらえないというだけではなく、非正規労働者の割合も増えており、退職金などがない人も多いのです。生活保護を受けることも当たり前になっているでしょう。

そうした時、現役世代は、高齢者世代を恨むようにもなりかねません。増税され、自分たちから徴収される税金が、こうした生活保護に消えていくからです。そして自分たちの将来もまた、そうした生活保護になる可能性が高いともなれば、税金を払いたくないという話にもなってきます。

貧しさを脱出できる人は少ない

日本全体の平均年齢は、現時点で、だいたい47歳程度です。これから2040年くらいまでの20年間は、さらに少子高齢化が進み、日本の平均年齢も上がっていきます。そしてこの20年は、日本が貧しくなっていく20年であり、下り坂です。

この状況を抜け出す、一番確実な方法は、日本を離れることです。しかし、そうして日本を離れ、外国で新しい生活が始められる人というのは少数でしょう。ほとんどの人は、貧しさを受け入れ、生活保護かそれに近い状態で暮らしていくことになります。

「貧しくても楽しく暮らしていける」という話を聞くことがあります。しかしそれは、未来の希望があるときに限定されている話ではないでしょうか。明日が、今日よりも厳しい社会というのは、そう楽観的にはなれない社会だと思います。そして日本は、これから、そういう社会になっていくのです。

※参考文献
・DIAMOND online, 『20年後は4倍、高齢者世帯の生活保護は「普通のこと」になる』, 2019年9月19日

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