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70歳以上の世帯の28.6%が金融資産を持っていません。これは数にして700万人です。そして、今後、そうした高齢者が増えて行くことは確実と考えられています。こうした人々は、年金だけが頼りの人生を送っているため、今後の増税や各種保険料の増加は、相当に厳しいものになります。
意外な課題として無視できないのが、こうして金融資産を保有していないという高齢者世帯のうち、約8割が、持ち家に住んでいるということです。賃貸ではなく持ち家というと、富裕層のイメージがありますが、これは正しくないということになります。
持ち家でも、ギリギリの生活を強いられている高齢者が多数いるということです。おそらく、そうした人々の持ち家は、親から相続していたり、30年以上も前に購入して資産価値がなくなっているものがほとんどでしょう。「持ち家を売ってお金に変えればいい」という理屈は通じないはずです。
もはや、この問題については「どうするのか」という話ではありません。現時点での高齢者世帯の3割が、貧困の生活をしています。それが今後膨らんんで行くことが確実ということは、私たち自身の未来が「どうなるのか」という話になっています。
こうした高齢者世帯を放置していると、そのまま、私たちの将来の生活も、相当に厳しいものになります。この問題は、どこかの他人の話ではなく、私たち自身の話として捉えないと、危機感が正しく共有されないのではないかと思います。
年金の話は、構造的な問題であり、今後、実質的に受け取れる金額は減って行くことは避けられないでしょう。そして先にも述べたとおり、医療や介護のための費用は足りなくなるのので、増税はもちろん、各種保険料も増額されていきます。
抜本的な改革や、奇跡的な経済成長があれば、もしかしたら、この状況は好転するかもしれません。しかし、そうしたことは、おそらくは起こらないという前提でいる必要がありそうです。実際に、私たち自身の過去を振り返ったとき、どれほど願っても、奇跡は起きなかったという人のほうが多いはずです。
日本は、このまま成り行きで、大きな改革はないまま、衰退していく可能性がもっともありそうなシナリオです。とはいえ、衰退にも様々な形があります。静かに、しかし平和と幸福のうちに衰退していけるのか、それとも悲惨としか表現できない衰退になってしまうのか、その分水嶺は、今の私たちの現状認識にあります。
無駄遣いを避けて、しっかりと貯蓄をすることも大事でしょう。医療や介護の制度を理解して、補助が受けられる範囲を知ることも重要です。民間の保険を検討することも生命線になってきそうです。そして何よりも、日本の高齢化に対して、現実的で優れた政策を打ち出せる政治家に投票して行くことが大切です。
※参考文献
・マネーポスト, 『「持ち家なのに貧困」な人は多い、高齢富裕層が賃貸を選ぶのは当然か』, 2019年8月9日
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