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不適切な保険販売が社会問題になってきています。違法なのは論外ですが、保険を売る側からすれば、多くの保険販売は、通常の営業の範囲かもしれません。しかし社会は、過去においては通常の営業の範囲とされてきたことを、より厳しい目で見るようになってきています。
今後は、モノやサービスの購入に祭して、人工知能による支援機能が発達してくることは間違いありません。いかに合法とは言え、必要のないモノだったり、買い手が不当に損をするようなサービスであれば、今後は、人工知能がそれらをシャットアウトするようになっていきます。
人間相手であれば「売れればいい」というロジックも通用したかもしれません。しかし、認知能力に課題を抱えている高齢者が増えていく中で、そうした過去のロジックによる被害者が増え、購買行動を支援する人工知能への期待が高まっていきます。
ある意味で、これから到来する人工知能による購買支援がもたらすより健全な社会は、かつての「売れればいい」という考えが生み出したものです。売れるということを目的とした行為は、ギリギリ合法というところでのビジネスを成立させてしまいます。
しかし、本来の経済活動の目的とするところは、商品によって顧客の幸福度(QOL)を高め、その見返りを得るということでしょう。これまでは、顧客の幸福度の測定が難しかったため、一旦は売り上げを持ってして、その商品の価値としてきた背景があります。
しかし今後は、購買支援を行う人工知能によって、幸福度の測定が可能になっていきます。この人工知能は、広告宣伝にはだまされませんし、顧客の本当の利益につながらない商品をフィルタリングするようになっていくでしょう。その時、不適切な保険販売も、そもそも成立しなくなります。
保険はとても重要な商品です。今後の大介護時代を考えると、介護に関連した民間の保険商品には、大きな期待が集まっています。そもそも、この分野に十分な保険商品がないと、日本が崩壊してしまう可能性もあるほどです。それだけ、保険には社会を安定に保つという重大な役割があります。
保険があるからこそ、人類社会はここまで発展できたと言っても大げさではありません。そのように、保険は本来、人類が発明したとても重要な商品であり、その原点に立ち返る必要があると思います。
7月19日に、生命保険協会の会長に就任した清水博氏は「高齢者への販売や商品開発で各社の対応が必要」と述べています(朝日新聞, 2019年7月22日)。日本の保険会社が、社会的な要請にしたがって、本来の「あるべき姿」に戻っていくことを期待しています。
※参考文献
・朝日新聞, 『高齢者への保険販売、各社で態勢整備を 生保協会会長』, 2019年7月22日
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