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年金だけでは2,000万円足りないという報告が話題になっています。この2,000万円の計算には、介護のための費用が含まれていないため、実際には、年金だけの生活は(かなりの個人差があることには注意が必要ですが)苦しいことは容易に想像できます。
そうした中、日本の高齢者の半数は、年金のみで生活しているということが報道されています。今後はさらに厳しくなる可能性があり、注目の話題でしょう。以下、日刊スポーツの記事(2019年7月2日)より、一部引用します。
65歳以上の高齢者世帯のうち、働いて得られる収入がなく、総所得が公的年金・恩給のみの世帯が半数に上ることが2日、厚生労働省の2018年国民生活基礎調査で分かった。生活状況を聞いたところ、高齢者世帯で「苦しい」と答えた割合は55・1%に上り、前年から0・9ポイント増えた。全世帯でも57・7%だった。1世帯当たりの平均所得(17年)は、全世帯は551万6千円で4年ぶりに前年を下回った。
高齢者世帯数は1406万3千に上り、全世帯に占める割合は27・6%で、それぞれ過去最高となった。老後に2千万円の蓄えが必要とした金融庁審議会報告書で年金不安が高まる中、多くの人が年金頼みで暮らしている可能性が大きいことが浮き彫りになった。厚労省は「働く高齢者が増える一方、依然として公的年金のみで暮らす人が多い」と認めた。(後略)
高齢者世帯において、収入が年金のみという世帯は51.1%になります。他に収入がある世帯と合わせると、高齢者世帯の平均年収は約335万円になります。もちろんこれは平均であって、ここには大きなバラツキがあります。一部の富裕層による影響も入っており、実際にはもっと少ない可能性が高いでしょう。
恐ろしいのは、今後、この年金部分が目減りしていくということでしょう。日本の年金は、いうなれば、現役世代から高齢者に対して「仕送り」をするような仕組み(賦課方式)になっています。そうした仕組みにおいて、現役世代の数が減り、高齢者の数が増える場合、高齢者1人あたりの年金が減るのは仕方ないことです。
「年金を守れ」という主張はもっともですが、そのために必要なことは、子育てのしやすい環境です。しかし現代の日本は、保育所を建設するだけでも大変な国になっていることからも明らかな通り、そうした環境がないからこその少子化でもあるわけです。
このまま大きな変革がない場合の未来は、とても厳しいものになります。2極化は拡大しますが、そのときは、これまでは中流層と考えられてきた人々が貧困化するという方向で2極化します。一流企業を定年まで勤め上げても、少し贅沢をすると貧困になってしまうような、そんな社会です。
年金は、支払われ続けるでしょう。ただ、年金としてもらえるお金の額は、普通に生きていくには足りないということは、すでにわかっていることです。そうして貧困に苦しむ高齢者が増える中で、介護を必要とする高齢者もまた増えていきます。
介護業界を存続させるには、どうしても保険外収益に頼らないといけないのですが、介護サービスを受ける高齢者にはお金がないということを想定しておく必要もあります。そうなると、貧困に苦しむ高齢者からではなく、どこか別の財源をベースとして、介護業界そのものを再編していかないと、介護業界も、立ち行かなくなってしまうでしょう。
※参考文献
・日刊スポーツ, 『年金所得のみが半数、65歳以上の高齢者世帯で』, 2019年7月2日
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