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警察による録音機の貸し出しで詐欺被害を防ぐ?

警察による録音機の貸し出しで詐欺被害を防ぐ?

高齢者を狙った詐欺と、その被害が増えてしまっている

高齢者を狙った詐欺と、その被害が増えています。オレオレ詐欺のような単純なものから、非常に高度なものまで、一度ターゲットにされたら避けるのが難しいものも出てきています。さらに、それが詐欺であると見破っても、その後に強盗に入られるようなケースもあり、本当に恐ろしい社会になってきました。

特に、オレオレ詐欺の被害者になってしまう高齢者の8割は、70歳以上の女性です。もちろん、男性であれば注意する必要がないという訳ではありません。詐欺グループにとっては、そうした男性は新たな攻略のターゲットにもなっているはずだからです。

また、被害者としてではなく、詐欺グループのメンバーとして高齢者がスカウトされているという話もあります。近づいてきたのが高齢者だから安心ということはなく、周辺にいる人々をことごとく疑わないとならない社会になってしまいました。なんとも、悲しいことです。

長崎県警の取り組みが効果を示している

そうした中、長崎県警による取り組みが効果を示しており、ニュースにっています。長崎県警は、2015年度より、高齢者に対して自動通話録音機を無料で貸し出しています。以下、毎日新聞(2019年6月30日)より一部引用します。

高齢者の特殊詐欺被害を防ごうと、県警が固定電話用の自動通話録音機の無料貸し出しに取り組んでいる。2015年度の開始から利用者が被害に遭ったケースはなく、県警は「効果が裏付けられた」として普及に向けた周知に力を入れる。

県警は現在、約950台を保有しており、65歳以上の県民が希望すれば原則1年間借りられる。録音機を取り付けた電話に着信があると、発信側に「この電話は振り込め詐欺などの犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」などとアナウンスが流れ、その後に通話が録音される。(後略)

長崎県警のような取り組みを広げるべき理由

犯罪組織としては、警察による自動録音がなされていることが知られてしまうと、声紋を取られ、最終的にはその声紋がどこかで拾われて逮捕されることが怖いはずです。どのみち、1日何件も電話をかけているはずですから、わざわざ、警察による自動録音がなされているところで、詐欺の話を続けようとは思わないでしょう。

同じような対策は、他の自治体でもできると思います。警察はすでに、オレオレ詐欺などの録音をそれなりに持っているはずですから、電話がかかってきた段階で、その電話の主が詐欺集団の人間かどうか、技術的に判定できるようになるまで、それほど時間はかからないのではないでしょうか。

これまでの問題は、そうしてかかってくる電話を録音し、警察としてその録音にリーチする手段がなかったことでしょう。今回の長崎県警の活動事例は、そうした課題に対するブレイクスルーになっている点は、もっと注目されて良いと思います。

※参考文献
・毎日新聞, 『録音機貸し出し5年目 利用高齢者の被害ゼロ 県警「効果裏付け」普及に力/長崎』, 2019年6月30日

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