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入院費用の問題は小さくない

入院費用の問題は小さくない

医師にお話を聞いた

ある医師に、介護で困っていることを聞く機会がありました。その医師によれば、困りごとには様々なことがあるのですが、特に困っているのは、入院費用の問題とのことでした。本人に支払いの意志があっても、本人が、自分の銀行口座へのアクセスがわからなくなってしまうケースがあるからです。

まず、認知症の場合です。自分がいくら持っているのかも、わからないケースがあります。そして意識不明の場合です。そもそも意識がないので、入院費用の支払いもできません。

そんな時、家族が、そうした本人の銀行口座へのアクセスがあれば、家族が代理で入院費用を支払える訳ではないのです。日本では、本人の同意が確認できない場合、家族であっても、勝手に銀行口座からお金を引き出すのは違法になるからです。

医師が困っているのは、まさにこの部分なのです。医学的な理由で、本人の同意を得られない場合、その人の入院費はどうなるのでしょう。家族が建て替えられれば、それはそれで問題は解決しますが、家族が建て替えられない場合も少なくありません。

家族で話し合いをしておく

こうした状況でも、お金の引き出しができるようにするために、後見人制度というものが整備されています。しかし、後見人の設定は面倒で、かつ、使いにくい制度になってしまっているため、後見人が設定されているケースはそれほど多くはありません。

家族の誰かが、代理人カードを持つという方法もありえます。銀行の窓口で、注意事項を確認しながら、代理人カードを作ることができたら、いざという時の出入金が可能になります。ただこの方法では、代理人カードを持っている家族が、口座から勝手にお金を引き出してしまうトラブルもありえます。

まとまった現金を、自宅の金庫などに入れておき、その鍵を家族で共有するという方法も考えられます。しかし、高齢者を狙った詐欺や強盗が増えてきている現在、この方法は、リスクが大きすぎます。残念ながら、この方法は推奨することができません。

とにかく、いざという時のためのお金をどうするか、家族で話し合いをしておくことは大事です。その上で、代理人カードでも良いし、いざという時にどうしてもらいたいかの意思表示を書面にしておくなり、動きやすい形を作っておくことが大事になってきます。

認知症の方の資産は90兆円に

2025年、認知症に苦しむ人は700万人になると予想されています。この人々の資産は、合計すると90兆円にもなるそうです。このお金に、勝手に手をつけることは決して許されませんが、このお金が使えないために、医療や介護が動けないという状況もまた、許されません。

後見人制度はありますが、不正などがあり、その利用の面倒を考えると、制度として使いにくいというところが大方の印象です。どうしても、後見人制度に代わる、より安全で、より便利な支払い方法が確立されないとなりません。

そして、こうした動きについては、信頼性の高い金融機関が、国と組んで法律を整え、金融機関の仕事として、しっかりと運用していくのが理想です。特に不正については、すでに今の人工知能の能力でも、十分に検知することができるはずです。

冒頭の医師の嘆きは、今後、より広域に、より多数出てくる一般的なものになっていきます。それが雪だるま式に大きな問題として成長しきってしまう前に、何らかの打ち手が必要です。

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