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認知症高齢者のお金を、誰がどう管理するのか?

認知症高齢者のお金を、誰がどう管理するのか?

認知症高齢者の保有する資産は90兆円?

2025年には、認知症高齢者は700万人に達すると考えられています。そして、その人々が保有する資産は90兆円にもなると考えられているのです。さらに軽度認知障害(MCI)になる400万人をこれに加えれば、おそらくこれは、100兆円を超える資産ということになりそうです。

一般の高齢者でさえ、様々な詐欺の被害にあうリスクが高まっています。そうした中で、認知症に苦しむ高齢者が抱えている危険は、相当大きいと考えなければなりません。実際に、認知症高齢者が、保有していた資産を奪われてしまうという事例も増えてきています。

現場の介護職はもちろん、こうした状況を認識しています。しかし、個別に対応しようにも、数が多すぎて、とても対応しきれません。また、仮に対応したとしても、それが自分たちの収益につながるということもないため、ますます困難になっているのです。

公的な枠組みが必要ではないか?

こうした背景から、認知症高齢者に限らず、資産の保全に不安のある高齢者のための、公的なサービスが求められています。すでに後見人制度金融機関による後見支援預金が存在してはいるものの、その使いにくさから、現場では嫌厭されがちなサービスになってしまっています。

既存の後見人制度には(1)後見人を誰にするかで揉める(2)実際にお金が必要なときの手続きが面倒(3)後見人が不正を働くことがある、といった問題点があります。このような既存のサービスの問題点を解消する、何らかの新しいサービスが必要です。

可能であれば、この新サービスは公的なサービスとして非営利に運営されることが望ましいでしょう。そもそも国民の財産を守ることは国の役割なのですから、ぜひ、検討してもらいたいところです。

フィンテックで改善できる

簡単に思いつくフィンテック(FinTech / 金融IT)としては、認知症高齢者がお金を支払うときに、自分自身の意思決定以外に、もう1人、その意思決定の正常性をチェックする人を通過しないと、支払いが行われないという、ダブル・シグニチャー制度を導入するというものです。

この、意思決定の正常性をチェックするのは、まずは、家族がいいとは思いますが、本当は、公的機関がこれを行う方が安全です。そうして公的機関は、意思決定の正常性のチェック業務を自動化していき、最終的にはAI(人工知能)がこれを判定するようにできたら、素晴らしいでしょう。

このフィンテックは、成功すれば、世界中で必要になる、認知症高齢者のための安全装置としての地位を獲得できます。とはいえ、このフィンテック実現には、本人確認の難しさや、物としての商品を評価判断する難しさなど、複数の課題を解決する必要があります。

※参考文献
・朝日新聞, 『「お金の介護」社会全体で 業界が連携、高齢者を支援』, 2019年4月3日

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