KAIGOLABの最新情報をお届けします。
介護業界は、日本における全63業界でも、40歳モデル賃金でダントツの最下位にあるという業界です。この改善のために、消費税増税後には1千億円が拠出されるとか、勤続10年以上の介護福祉士の月給を8万円増加させるといった話が進んでいます。
しかし、年間1千億円の拠出でも、全63業界で最下位の脱出がギリギリです。また、勤続10年という条件を満たせる介護福祉士は限定的で、業界全体の平均年収への影響は軽微です。もちろん、こうした待遇改善の努力は評価されるべきものですが、全く足りないというのが実情なのです。
そうした中、労働組合による調査で、こうした待遇の悪さを理由として、退社を考えている人が多いことがわかりました。「それはそうだろう」という当たり前のデータなのですが、まずは以下、東京新聞の記事(2018年9月11日)より、一部引用します(段落位置のみ、KAIGO LABにて修正)。
月給制で働く介護職員の約三割が退社を意識していることが、労働組合「日本介護クラフトユニオン」が十日発表した二〇一八年度就業意識実態調査で分かった。理由は「賃金が低い」が最多だった。別の業界に移りたい人も増えている。(中略)
「介護業界以外」との答えは同様の設問があった一六年度調査(9・7%)の約一・五倍に拡大した。今の会社で仕事を続けたくない理由(三つ以内)を尋ねると「賃金が低い」が56・5%で最多。「仕事量が多すぎる」(32・3%)、「将来の生活設計が描けない」(31・5%)が続いた。
この待遇を理由として、介護業界は人材不足に悩み続けています。それは、どこかの誰かの問題ではありません。誰もが、いつかは介護を必要とするわけで、これは、ほとんどすべての人の未来の話なのです。いざ、自分や自分の親に介護が必要になってから、介護人材がいないという事実に直面するのは、悲惨なことです。
介護というのは、医療とは異なり、毎日の生活を送るために必要なものです。介護がなければ、生きられないというケースは多くあります。その介護を、プロとして担ってくれる専門職がいないということは、人間の命に関わる問題なのです。
自分の親の介護をする人であれば、仕事が続けられなくなり、介護が終わるまでは再就職もできなくなるでしょう。自分に介護が必要な人であれば、介護を担ってくれる家族がいない場合、本当に生きられないという状況に押し込まれる可能性もあります。
これは、本当に大きな問題です。介護のプロという仕事が、日本の仕事の中でも、最悪に近い待遇が維持される限り、この状況はますます悪化していくことになるでしょう。介護の専門性を身につけるには、時間もかかります。なんとか、より広く、この問題が認識され、抜本的な対策がなされないと、間に合わなくなります。
※参考文献
・東京新聞, 『介護3割、退社意識 理由「賃金低い」最多』, 2018年9月11日
KAIGOLABの最新情報をお届けします。