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民間の自動車保険を思い出してください。無事故無違反、ゴールド免許だったりすると、毎月の保険料が減額されますよね。逆に事故ばかり起こしていると、保険料は高額になります。このように保険料というのは、それを使えば使うほど、徴収される金額が上がるという性格を持っています。
さて私たちは、医療保険や介護保険など、日本の社会福祉の財源となる保険料を徴収されています。そして、日本の高齢化にともない、こうした社会福祉を必要とする人が急増しています。社会福祉を必要とする人が増えるということは、当然、徴収される保険料も上がっていくということです。
現在の好景気は、少なからぬ業界で賃上げにつながっています。しかし、賃上げよりも、保険料の上昇のほうが大きければ、手取りは減ってしまいます。そして中長期的に考えると、いずれは景気は悪化する局面になり賃上げは止まりますが、保険料の上昇は、これから数十年は止まらないと考えられるのです。
75歳以上の高齢者には、特別に、後期高齢者医療制度というものが設置されています。この制度を支える保険料が、この4月から増額される都道府県は、36にものぼることが示されました。以下、毎日新聞の記事(2018年3月18日)より、一部引用します(段落位置のみKAIGO LABにて修正)。
75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度で、2年ぶりに見直される4月からの保険料の1人当たり平均額が、36道府県で現在より上がる見通しであることが、共同通信の集計で分かった。最高では年間5000円近く上昇する。
比較的所得の低い人や、74歳まで会社員や公務員の扶養家族だった人向けの特例的な軽減措置が廃止、縮小されることが主な要因。下がるのは11都府県にとどまる。介護保険料も多くの自治体で引き上げられる見込み。年金額は据え置かれるため、多くの高齢者世帯の家計は圧迫されることになりそうだ。
なお、こうした国の保険料は、自動車保険の場合とは異なり、所得水準の高い低いも、反映されるようになっています。民間の保険とは異なり、国の保険の場合、所得水準の高い地域に暮らしている人の保険料を上げることで、国全体の社会保険をカバーしようとする意図があります。
11の都道府県では、保険料が下がるという結果になっています。将来はわかりませんが、短期的には嬉しいことでしょう。それらは、宮城県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、大阪府、島根県、岡山県でした。
注意したいのは、こうして保険料を下げた都道府県の今後はどうなるのかということです。また、そうした都道府県は、徴収する保険料を減らしながら、他の税金を上げてくる可能性もありますので、地方税などと合わせて考える必要もあるでしょう。
とにかく、今後の日本を考えると、医療や介護のための保険料は全体としては上がって行かざるを得ません。しかし、労働者の給与は、日本の競争力が高まらない限り、そう簡単には上がっていかないことが予想されます。
そうなると、可処分所得(収入から各種保険料や税金などを引いて残った自由に支えるお金)は減っていく可能性が高まります。可処分所得が減るということは、長期ローンを組んでいる人の破綻が増え、消費できるお金が減ることによる景気への悪影響などが起こります。家計にもより厳しい緊縮財政が必要になりそうです。
※参考文献
・毎日新聞, 『後期高齢者医療制度 36道府県で保険料上昇 4月から』, 2018年3月18日
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