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がんばれ厚生労働省!介護報酬の「引き下げ」をめぐりバトル中!

がんばれ厚生労働省!介護報酬の「引き上げ」をめぐり財務省とバトル中!

介護報酬が下げられようとしている

介護報酬が下げられようとしています。介護報酬が下がると、介護事業者の収益力は悪化し、日本において最低の報酬しか保証されない介護業界で働く人々の労働環境が、さらに悪化してしまいます。以下、日経新聞の記事(2017年10月27日)より、一部引用します。

麻生太郎財務相は27日の閣議後の記者会見で、2018年度の診療報酬と介護報酬の改定について「少子高齢化を考えるとなかなかプラス改定という状態ではない。マイナスで考えないと、とても成り立たない」との認識を示した。

一部のメディアは、介護報酬が下がると、介護を必要とする人々の自己負担が下がるということをポジティブに報道しています。しかし、日本における仕事の中で、最低の待遇を押し付けられている人々からお金を奪って、それで自己負担を減らそうということが許されるはずはありません。それは搾取であり、二極化を進めることでしょう。

いい加減、介護業界はストライキを検討すべきだ

もし、今回の介護報酬の改定において、本当にマイナス改定がなされるなら、介護業界は、ストライキを検討すべきです。ここで介護業界としての意思を示さないと、このままずっと介護報酬は下げられていくことになります。

とはいえ、介護職のストライキは、目の前の利用者(要介護者)に生命の危険さえもたらしかねません。ですから、介護業界としては、それが正当な権利だとしても、ストライキを断行することは困難なのです。しかしこのままでは、介護職の人材不足が解消されるどころか、ますます誰もこない業界になってしまいます。

こうした状況は、厚生労働省はわかってくれています。そして、今回の改定で現実味を増してきているマイナス改定に対して、厚生労働省は、財務省に戦いを挑んでいます。以下、yomiDr.の記事(2017年10月27日)より、一部引用します。

厚生労働省は26日、改定の基礎資料となる介護事業者の経営実態調査結果を社会保障審議会の委員会に提示。経営が悪化しているため報酬引き上げを目指す見込みだ。社会保障費を抑えたい財務省は引き下げを求めており、年末にかけ激しい攻防が予想される。(中略)

一方、25日に開かれた財政制度等審議会で財務省は、診療報酬は2%半ば以上の引き下げ、介護報酬も「保険料の負担増を抑制するため」としてマイナス改定を主張した。

財務省も苦しいということへの配慮も必要

もちろん財務省も、自分たちの責任として、厚生労働省とは異なる角度から、正しい仕事をしているだけのことです。日本の課題は、介護だけではありません。より大きな目線からすれば、国を維持するために国民一人当たりに必要となる費用よりも、国民一人当たりが納める税金のほうが少ないということが諸悪の根元です。

日本は、企業ならずっと前に倒産しているような財務状況にあります。大赤字なのです。その上で借金を続けており、この借金を返済するのは、現在と将来の子供達です。財務省としては、いかに厳しくても、この状態からの脱出を考えないとならないのです。

しかし財務省の人も、トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)は読んでいるはずです。介護報酬の引き下げは、ピケティが言うところの二極化を拡大させてしまいます。介護報酬ではなく、別のところでの無駄な出費の抑制を考えるべきだと思います。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『介護報酬改定に向け議論が本格化』, 2017年10月27日
・日本経済新聞, 『診療・介護報酬ダブル改定「マイナスで」 財務相』, 2017年10月27日
・yomiDr., 『診療・介護報酬の同時改定、「引き上げ」「引き下げ」巡り本格議論スタート』, 2017年10月27日

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