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『会社四季報』で有名な東洋経済が、独自のシミュレーションによって計算した各種業界の40歳モデル年収ランキングを発表しています(2017年9月8日)。言うまでもなく、あくまでもモデルであって、各業界の内部には企業によって相当な年収格差があります。
それでも業界全体として、どこの業界の年収が高くて、逆にどこが安いのかというランキングには、大きな意味もあるでしょう。人口減少によって、これから労働力不足が顕在化していく日本においては、業界内よりもむしろ、業界間での人材の奪い合いが激しくなっていくからです。
さて、様々なところで、待遇の悪さが指摘される介護業界ですが、このランキングでは何位になるのでしょう。外食業界やホテル業界も、介護業界と同じように、その待遇の悪さが問題視されることの多い業界です。そうしたところとの違いはあるのでしょうか。
結果は、介護業界は、ランキング最下位の63位、395万円ということでした。注目したいのは、62位となった百貨店業界のモデル賃金が452万円、同額60位のディスカウントストア業界、家電量販店業界のモデル賃金が479万円だったことです。残念ですが、介護業界はダントツの最下位ということになります。
よく、待遇の悪さで介護業界と比較される外食業界は491万円で58位、ホテル業界は481万円で59位でした。40歳の時点で、介護業界は、外食業界やホテル業界よりも、年収が100万円近く少なくなってしまうわけです。
介護業界は、深刻化する人材不足の問題への対応として、高すぎるストレスや、悪いイメージを払拭しようと一生懸命です。しかし、そもそも最大の問題はストレスやイメージではなくて、この待遇でしょう。人間は、お金のためだけに働く訳ではありませんが、それにしても、ダントツの最下位というのは、さすがにまずいでしょう。
介護業界は、一致団結し、政党や政治家に対して圧力をかけないとなりません。介護業界の内部でも、業界全体の待遇改善に本気で取り組む人材を育て、圧力団体のリーダーとして配置していかないとなりません。
どこの業界でも、待遇は、労使間の長い交渉を通して改善してきた歴史があります。介護業界の場合は、労使間の交渉は、国との交渉になります(給与原資が事実上、国によって定められてしまうため)。国との交渉は、民間企業の経営者との交渉よりもずっと困難です。
KAIGO LAB では、これまでもずっと、介護職を公務員化することによる待遇の大幅な改善を提案してきました。そうしたレベルでの改善がみられないなら、日本の高齢者福祉がダメになるのは明らかなことです。
※参考文献
・東洋経済, 『格差歴然!40歳平均年収「63業界」ランキング』, 2017年9月8日
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