KAIGOLABの最新情報をお届けします。
『月刊薬事』は、株式会社じほうによって発行されている薬剤師向けの専門誌(特に臨床現場向け)です。1922年に創業された株式会社じほう(旧・薬業時報社)は、医療関連の書籍・雑誌を扱う行う伝統と信頼のある企業です。
この会社が発行している『月刊薬事』が、KAIGO LAB の設立についてレポートをしてくれました。100年にせまる期間、日本の薬学情報をリードしてきた企業に、こうして取り上げていただけることは、まだ設立間もない赤ん坊の KAIGO LAB にとっては、身にあまる光栄です。
もしかしたら、広告のように思われるかもしれませんが、これは『月刊薬事』のご厚意で掲載いただいた記事です。介護と少し遠い世界の専門性を追求する専門誌が、こうした記事を掲載してくれることには、当然、背景があるはずです。
その背景として推測されるのは「薬剤師とはなにか」という、その存在意義に関する問題意識です。薬剤師は、もはや、薬の専門家という世界にとどまる者ではないと思います。もっと、人々の健康に対して、積極的に関わるプロフェッショナルになることを期待されていると感じます。
薬の調剤や薬事衛生といった仕事は、今後は、IT(ロボット)が担っていくことになります。しかし、ITは、決められた仕事をすることは得意ですが、人々の健康という、複雑で一筋縄ではいかない世界については、まだまだ能力が足りません。
そうした中、薬剤師の仕事は、日本の高齢化という現実を前に、逆に大きくなってきているように思います。高齢者のほうが、薬との付き合いが多いだけでなく、副作用に関しても、コントロールが複雑になるからです。
まず、高齢者になると、一般に、服用する薬の数も種類も多くなる傾向があります。また、高齢者の薬の服用では、飲み忘れや、飲み過ぎも多くなります。そして、加齢による体の変化によって、肝臓が薬を分解する力、腎臓が薬を体外へ排出する力などが弱くなります。これらの要因によって、高齢者においては、薬の副作用が起こりやすくなってしまうのです。
まず、複数の薬を同時に服用すると、薬を構成している化学物質が影響しあい、思わぬ作用が出てしまう可能性が高まります。肝臓が弱くなると、薬の分解速度が遅くなるので、薬が長く体内にとどまります。腎臓が弱くなれば、これもまた、薬が長く体内にとどまる原因になります。
薬が長く体内にとどまると、薬が強く効きすぎることになります。また、まだ前の薬の効果が残っている状態で、次の薬が入ってきたりすれば、化学物質がおかしな影響をしあう環境を生んでしまうのです。
さらに、薬は、食べ物とも反応して、よからぬ動きをすることがあります。高齢者は、食生活も偏りがちだったり、とろみ調整剤なども使うことがあるため、こうした薬と食べ物の関係も無視できません。
こうした背景を受けて、介護の現場にも、薬剤師の関わりが必要になってくる場面が増えています。実際に、薬剤師が訪問してくれている要介護者も少なくありません。遠くない将来、薬剤師は薬局にいる存在ではなく、もっと介護現場でよくみかける人々になっていくのでしょう。
※参考文献
・大阪府薬剤師会, 『高齢者とくすり』, 2015年3月
KAIGOLABの最新情報をお届けします。