KAIGOLABの最新情報をお届けします。
『西日本新聞』では【生きる 働く 第13部】と題して、介護職の離職について、現場の視点から考える連載をしています。
介護職は、超高齢社会を支える非常に大事な仕事です。にもかかわらず、続けたくても辞めざるをえない状況になってしまうことがあります。記事では、こうした介護職の葛藤を、現場のリアルな事例と共に紹介しています。私たちが、介護職の「生きる 働く」をどう支えるかについて、考えさせられる連載です。
今回はシリーズの第3弾として、KAIGO LAB SCHOOL 副学長である、飯塚裕久氏の取り組みが紹介されています。飯塚氏は、小規模多機能型居宅介護事業所「ユアハウス弥生」所長で、その他にも、介護のプロ同士がお互いを高めあうことを目指す「NPO法人もんじゅ」の代表理事を務めています。
過去にもインタビュー記事を取り上げましたが、介護に関わる人なら一度は目にしたことがある漫画『ヘルプマン(22~24巻)』の主人公として登場する、飛石亘のモデルになった方でもあります。
今回の記事では、希望を持って介護業界に飛び込んだ、22歳の介護福祉士(女性)の葛藤について描かれています。彼女は、就職して1年にも満たない特別養護老人ホームを辞めようとしているというのです。
彼女の葛藤の原因は、まわりの職員の中に、明らかに「介護職に向かない人」がいることです。お年寄りが好きと口では言うものの、利用者に対する接し方を見る限り、到底そうは思えないのです。しょっちゅうニュースで取り上げられている介護職員による高齢者の虐待についても、他人ごとではないと思えてしまいます。
さらに追い打ちをかけているのが、責任者がこの現状について、見て見ぬふりをしていることです。ただでさえ人手が足りていないのに、辞められたら困るということなのかもしれません。専門学校時代に思い描いてきた理想の介護とは大きくかけ離れており、彼女は打ちのめされています。
飯塚氏らが運営する「NPO法人もんじゅ」では、こうした悩みを抱えている介護職と、同じ地域にいるベテラン介護職が対話する場を設けています。もちろん若手介護職の悩みだけでなく「チームワークが築けない」、「主体性のない新人の育成方法がわからない」といった中堅、ベテランの悩みにも対応します。
悩みに対応すると言っても、カウンセリングをして、すっきりするだけではありません。その悩みの原因になっている課題を、本人が論理的に説明し、問題を解決するところまで、自分の力で取り組ませるのが目指すところです。
そもそも介護職というのは、利用者から相談を受け、援助するのが得意です。その資質を、介護職同士でも役立てていこうというのが、この取り組みです。現在は全国10支部にまで広がっています。「介護職が課題を乗り越えて、離職しなくなれば、介護の質は上がっていく」というのが飯塚さんらの思いです。
最後に、飯塚氏は「介護職がもっと学ぶべきである」と主張しています。介護保険の仕組みや、勤め先の経営状態などについて知らないことが、将来への不安を生み出し、離職に繋がっていると感じるからです。
しかし、現在の介護職の賃金で、大きなお金のかかる教育に自己投資するのは、非常に難しいのが現実です。そんな中で、介護職が社会での役割を理解し、自分たちの労働の価値をどう高めていくかを考えるために設立されたのが KAIGO LAB SCHOOL です。
本年度は4月から、15人の介護職を対象に、無料のビジネススクールが行われています。介護業界の構造や財務会計について深く学び、毎回学んだことを自分の職場で実践し、レポートを提出しています。このスクールで学び、新たな視点を持った人材が、超高齢社会の介護業界を支えると考えています。
KAIGOLABの最新情報をお届けします。