閉じる

「老老介護」の現場について、考えなければならない。

老老介護

「老老介護」のイメージをつかむために

2013年の「国民生活基礎調査」によって、介護の現場では、介護する人もされる人も65歳以上という「老老介護」は、全体のほぼ半数(49.1%)であることがわかりました。75歳以上であっても「老老介護」は、23.4%になります。

老老介護の現場について、HTB(北海道テレビ)セレクションズが動画を公開してくれています。動画自体は少し古いもの(2009年)ですが、現場の雰囲気が感じられて参考になります。
 

高齢の男性の悩みは家事・・・

ある調査によると、妻の介護をしている高齢の男性の悩みは、掃除、洗濯、ごみ出しといった「家事」であることが報告されています。普通、介護負担の王様といえば入浴介助と排泄介助なのですが、ここはどうなっているのでしょう。

実は、プロによる介護サービスによって、入浴介助、排泄介助、食事介助の負担はかなり軽減されています。しかし、要介護者に同居家族がいる場合、家事援助サービスは原則利用できません。「老老介護」における「家事」は、全て、高齢者が行わなければならないのです。

なるほど、要介護者に同居する「健康な」家族がいる場合、それもいたしかたないのかもしれません。しかし、上の動画のように、高齢夫婦のどちらもが要介護状態だった場合、家事援助サービスが受けられないのは、果たして正しいことでしょうか。

これが正しいことではないことは、厚生労働省が、この利用制限の原則について「機械的な適用を避けること」を何度も自治体に通達していることからも明らかです。それでもなお、原則そのものは維持されているあたり、社会保険の財源が本当に厳しいということが感じられます。

なんとか財源を傷めずに「老老介護」の家事負担を減らせないか

「老老介護」が事件に発展したというニュースが最近多くなりました。朝日新聞データベースにおいて、2006年〜2010年6月末(4年半)の間にとりあげられたものだけで、殺人90件、無理心中27件になります(未遂も含めれば、もっと多くなります)。

とにかく今、大事な問いは、財源を傷めずに「老老介護」の家事負担を減らす方法がないかということです。「家事」の全てをサポートするのは難しくても、その中でも高齢者にとって最もキツイところを明らかにして、そこだけでも、低コストでやれないでしょうか。

介護ロボットを開発している会社は多いです。そうした会社は、どうも、力仕事支援と、コミュニケーション支援に偏ってはいないでしょうか。高齢男性が最も負担に感じるという「家事」のところが手薄になっているような気がします。

※参考文献
・津止正敏, 『老老介護の現状と課題』, 国民生活, 2015年2月
・羽生正宗, 『老老介護の現状分析』, 山口経済学雑誌(第59巻, 第4号)
 

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由