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日本の医療制度では、誰もが、どこの病院へも好きに行けることになっています。しかし、ヨーロッパなどでは、病気が疑われる場合、まずは家庭医(ホームドクター)と呼ばれる医師が対応することになっています(厳密には国によって違いがあります)。
こうした家庭医は、正確には、総合診療医(GP/General Practitioner)と呼ばれ、日本でもその導入が検討され続けています。むしろ、紹介状なしで大きな病院にかかると追加料金がかかるという方法で、実質的な導入が試みられているといった方が正しいでしょう。
それでも、日本の場合は、臓器ごとに異なる医師のお世話になることの方が多いと思われます。こうして、複数の病院に同時にお世話になるような状態のことを、特に、皮肉の意味を込めてドクターショッピングと言います。ショッピングをするように、気軽に医師を変えるという意味があります。
こうしたドクターショッピングの弊害として知られているのが、薬の飲み過ぎです。それぞれの病院が、それぞれの薬を処方するのは当然です。それぞれの病院は、患者が、他にどのような病院にかかっているかを正確に把握するのは難しいので、薬の飲み合わせなどについても考慮することが困難になりやすいのです。
そもそも、飲んでいる薬が6種類以上になると、薬の飲み合わせによる副作用に注意する必要があります(NHK, 2016年4月25日)。あくまでも目安ですが、同時に服用する薬は5種類まで、といった認識を持つ必要がありそうです。
ヨーロッパの場合であれば、家庭医がこうした状況を把握し、適切に薬をコントロールすることが可能です。しかし日本の場合は、それぞれに異なる病院からもらってきた薬を、どのように服用していくのかについては、一般には誰も考えてくれない状況が出来上がってしまっています。
もし、服薬している薬の種類が6種類を超えているのであれば、専門家に相談する必要があります。そうした時、頼りにしたいのは、在宅医療に強い医師や薬剤師です。特に訪問薬剤師への注目は高まってきており、近くに活用できる薬局があれば、相談してみるべきでしょう。
特に高齢者の場合、薬を分解する機能を果たす肝臓や腎臓が老化によって弱っています。これにより、高齢者の場合は、薬を分解して、その成分を最終的に体外へ排出するまでの時間が長くなることが知られています。結果として薬の成分が長く体内に残るため、高齢者の場合は、薬の副作用を特に注意する必要があるのです。
改めて、介護には、幅広い知識と専門性が求められることが認識されます。そうした知識を学んでいくことには終わりがないため、時に、諦めに近い感情にとらわれてしまうこともあるでしょう。しかし、そうして高齢者を支えることに成功した社会は、若い人にとっても良い社会になるものと信じています。
※参考文献
・NHK, 『高齢者と薬「多すぎる薬と副作用」』, 2016年4月25日
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