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鉄道を活用したデイサービスの実証実験(札幌市電)

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デイサービスの苦悩

デイサービスは、在宅介護をする上で欠かせない、非常に重要なサービスです。基本的には、朝、自宅に送迎車で迎えに来てくれて、夕方、また自宅に送り届けてくれるという形で、日中の時間を施設で過ごさせてくれるサービスです。その間に、入浴介助をしてくれるところも多くあります。

そんなデイサービスは、介護をする家族からすれば、日中の時間を介護以外のこと(仕事や家事など)に活用するために、絶対になくてはならないものになっています。しかし、実査に介護されることになる高齢者からすればどうでしょうか。

もちろん、高齢者の立場からしても優れたデイサービスは多数ありますが、時には、デイサービスに行きたくないという気持ちになることもあるでしょう。デイサービスを運営する側からしても、どうすれば高齢者に喜んでもらえるかで、常に頭を悩ませています。

鉄オタ向け介護サービス?

そうした中、鉄オタ(鉄道オタク)の要介護者向けに、路面電車を活用した「楽しみながら日中を過ごす」という切り口での介護サービスの実証実験が行われました。この実験を行ったのは日本最北の路面電車を走らせる札幌市電です。

この実証実験は、高齢者が楽しむという角度からは成功したようです。本当の問題は、それで事業として成立するのかという部分ですが、まずは、以下、産経新聞の記事(2019年5月3日)より、一部引用します。

電車で老GO!は、施設に通うのではなく、街で好きなことをしようと「移動式介護」を検討した班が「札幌といえば市電」と意気投合。北海道の鉄道おたくに対し、東北では軍事おたく向けにほふく前進などを運動に導入、指導できる専門スタッフを募った。(中略)

今後、つり革にぶらさがってストレッチ▽昼食は駅弁▽レクリエーションで路線図を書く-なども企画したいという。全国の鉄道で応用できるよう、電車型バッグに用具を収納するキットも作った。(後略)

JR九州による取り組みが先行している

今回のニュースは、北海道の札幌市電によるものですが、前例としては、JR九州による今津駅舎内に設置された「今津サポートセンターいずみの園」があります。これはデイサービスではなく、あくまでもケアマネが常駐する場なのですが、鉄道の施設を有効利用するケースとして注目されています。

日本全国で、少子高齢化によって、鉄道の経営は厳しくなってきています。そうした鉄道の設備を、高齢福祉のために活用できたら、日本の鉄道文化を守っていくことにも繋げられるでしょう。

各駅の構内が介護事業者の施設になっており、駅の間を電車で移動しながら、日中の時間を過ごせるようなデイサービスができたら、鉄オタはもちろん、鉄オタでなくても、毎日がもっと楽しくなる可能性があります。全国の鉄道会社には、是非とも検討してもらいたいところです。

※参考文献
・産経新聞, 『鉄オタ向け介護サービス 路面電車で実証実験』, 2019年5月3日

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