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4世帯住宅だって?広がりをみせる新しい暮らしかた

4世帯住宅だって?広がりをみせる新しい暮らしかた

大介護時代をきっかけに変化する暮らし方

大介護時代になってきました。誰もが、介護に関わって、介護を普通のこととして暮らしていかなければならないのです。同時に、あまりにも多くの高齢者に介護が必要となる結果として、介護のための国の財源だけでなく、プロの介護人材も不足していきます。そして人間の寿命は100歳くらいまでは伸びていくのです。

そうなってしまえば、親の介護の多くは、子供や孫が担っていくことになるでしょう。ラッキーなのは、これからITによって在宅勤務が当たり前になっていく可能性が高いことで、仮に親の介護を直接的似しなければならなくなっても、家族がみんなで助け合えば、なんとかそれをこなせる可能性も高まってきています。

こうした未来を想定した住宅が登場しました。なんと4世帯住宅で、家族が密集して、お互いを助け合うことが想定されています。以下、日本経済新聞の記事(2018年7月31日)より、一部引用します。

LIXIL傘下のLIXIL住宅研究所(東京・江東)は31日、4世帯が同居できる戸建て住宅を発表した。家族が集まるリビングを中心に、4つの寝室がある内装が特徴。室内には風呂場が3つ、各部屋にトイレがあるなど、大人数でも住みやすいように工夫している。まずモデルハウスを建て、2019年内の販売開始を目指す。(中略)

住宅内には「ユニット」と呼ばれる居室が4つあり、それぞれに「20~40歳」「40~60歳」「60~80歳」「80~100歳」の夫婦が住むことを想定している。働き盛りの40~50代夫婦が住むことを想定した居室の隣にはワーキングスペースを用意し、各世代の特性に合った内装設計になっている。(中略)

居住者の運動不足を解消する内装になっていることも特徴の1つだ。(中略)「転居などで居住者がいなくなっても居室にはバス・トイレ付きのため賃貸や民泊用にも応用できる」(今社長)ことも強みで、工費100万円以内で用途変更のリフォームができるという。(後略)

ある意味で江戸時代に戻るということでもある

これからの時代は、国の社会福祉を頼って生きていくことが難しくなっていきます。あと10年くらいであれば、ギリギリ、社会福祉制度を活用することで、介護をこなせる人もいるでしょう。しかしそのあとは、数字を見る限り、国の社会福祉制度では完全に不十分という時代に突入します。

シェアハウスという考え方は、元をたどれば、人類史において当たり前のことでした。江戸時代で言えば、長屋での生活のようなものが普通でした。プライバシーはかなり制限されますが、大きな家族のようなもので、お互いがお互いを気遣い、コストを切り詰めて生活してきたのです。

今回のニュースとなっている4世帯住宅も、社会福祉などほとんどなかった時代に生きた人々からすれば、当たり前のものです。逆に、近代のような社会福祉があった時代のほうが短いわけですから、私たちはこれから、考え方を「普通」なものに変えなければならないのでしょう。

大きな社会変化を想定しておく必要がある

4世代住宅の登場は、これから起こる大きな社会変化を先取りしたものです。私たちは、これまでと同じような常識では生きられない時代に突入していきます。そうした中で、長期ローンによる住宅の取得のように、長期的な変化を想定しない生き方のリスクは極限まで高まっています。

これからの社会がどうなるか、本当の未来は誰にもわかりません。しかし、これまでと同じような常識が通用する社会でないことだけは確実でしょう。極端に悪くなることもあるでしょうが、逆に、極端に改善することも出てくるはずです。

私たちは、そうした巨大な変化を前にしています。いかなる変化であっても、大きな流れに逆らうことはできないでしょう。私たちに残されているのは、そうした変化に追従できる柔軟性を高めておくことだけです。4世帯住宅の登場は、そんな変化のほんの一部にすぎないのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『リビングを4世帯がシェア LIXILの戸建て住宅』, 2018年7月31日

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