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日本の独居高齢者は、2000年には約300万人だったものが、2015年には約600万人と、この期間でほぼ倍増しています。孤独であることは極端に健康を害する要因になることも知られており、これを放置しておくことはできません。
これまで、日本の社会福祉は、申請をしてはじめて使えるというものがほとんどでした。つまり、そこに社会福祉があるということを知らないと使えない仕組みだったのです。これは、社会福祉にかかる費用を抑制する効果があるものの、知らないだけで負担を抱え込むケースも散見されてきました。
しかし、超高齢化社会となり、特に健康面においては、予防による早めの対処がなされないと、返って社会福祉のための費用がかさむ時代になりました。こうした背景を受けて、ついに日本でも、社会福祉のほうから近づいてきてくれるように変化が起こってきています。
この流れを示す典型的な事例として、東京都練馬区による単身高齢者の全戸訪問が挙げられます。単身高齢者を放置しておくと、返って、社会福祉のための公費がかさみ、自治体の財政を圧迫するという認識が生まれてきているからです。以下、日本経済新聞の記事(2018年4月23日)より、一部引用します。
東京都練馬区は一人暮らしをしている高齢者の自宅への全戸訪問を始めた。高齢者のみで構成する世帯の自宅も対象で、昨年に一部地域で実施したモデル事業を区全域へと広げた。高齢者の生活実態を把握し、介護予防や認知症患者の早期発見につなげる。
対象となる高齢者は約2万人で、すでに介護サービスを受けている人は除いている。高齢者介護の支援に当たる区内25カ所の地域包括支援センターに訪問支援員を配置。高齢者の申請の有無にかかわらず、支援員が自宅を訪問する。行政の支援が必要と判断すれば、担当の部署に連絡する。(後略)
今後、親の介護を理由とした介護離職は爆発的に増加していきます。その理由は(1)兄弟姉妹が少ない(2)未婚の人も多く、結婚していても共働きで専業主婦がいない(3)団塊の世代が要介護になりやすい75歳に近づいてきている、といったところです。
これも、親の状態を早めに把握し、介護予防などの対策を打つことで、避けられる可能性も高まります。しかし多くの現役世代は、実際に大変な状態になるまで、介護については考えたくないというケースも多いようです。虫歯になってから、しかも痛みが出てから歯医者に行くのと似ていますね。
実際には、後手にまわって対応が遅れてしまうことは、最悪の結果につながります。今回の練馬区の取り組みのように「まだ介護なんて・・・」と思っても、まずは状況の正確な把握からはじめてください。親は子供を心配させまいとして、自分の健康状態を楽観的に伝えてくるものです。
※参考文献
・日本経済新聞, 『東京都練馬区、単身高齢者を全戸訪問 介護予防狙う』, 2018年4月23日
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