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介護のプロがよく目にする光景の一つに、要介護状態になった親を、自分の家に呼び寄せた結果としてのトラブルがあります。はじめは、親のほうも乗り気だったりすることもあるのですが・・・
終着駅としては(1)生活のリズムが合わずに喧嘩ばかりになる(2)家事などの生活援助系の介護サービスが使えなくなり負担が増える(3)同居していると特別養護老人ホームへの入居の優先順位が下げられる(4)住み慣れない環境で親の心身の状態が悪化する(5)親が田舎に帰ると言い始めても田舎の家はすでにない、といったものを、とても頻繁に目にするそうです。
そうしたリスクを理解した上で同居する場合は、生活援助系の介護サービスが使えなくなること(原則として同居家族がいると使えません)、特別養護老人ホームに入りにくくなること(同居家族がいると優先順位が極端に落ちます)を覚悟した上で、田舎にも帰れるというオプションを残しておくことをオススメします。
同居を決めるのは、まず数ヶ月一緒に暮らしてみて、同居がどういうものかお互いにその現実を理解してからでも遅くないでしょう。一番まずいのは、田舎の家を完全に引き払って退路をたち、その上で「とても一緒に住めない」ということになり、それでも特別養護老人ホームには入れずに、かつ、田舎には家もすでにないという状況です。
高齢者にとって、住み慣れた環境を離れることは、認知症のリスクを高めてしまうという事実についても理解しておく必要があります。また、田舎にはあった人間関係のネットワークが、全てなくなってしまうことの影響は、本人が想像している以上に大きなものだったりします。
ずっと一緒に暮らしていなかった親にとって、実は、子供以上に重要な人間関係が田舎にあったということを、それを失ってから知るのは厳しいものです。介護のプロからすると、看取りというタイミング以外で、親との同居を実行するのはかなり難しいという印象です。
本当に同居を決めてしまう前に、ケアマネと自治体(市町村)の高齢者福祉課などに相談してみることが大事です。「同居しかない」という気持ちになるのは、単純に、受けられるサービスの存在を知らないことが原因かもしれないのです。
この場合、相談する自治体は、引越し元となる田舎の自治体はもちろん、引っ越し先となる自分の住んでいるところの自治体も含まれます。双方、電話での相談にも親身になって乗ってくれるはずです。
しつこいですが、ケアマネだけでなく、自治体にも相談することを忘れないようにしてください。親の呼び寄せのトラブルは、自治体のほうが多数経験しているので、ノウハウが自治体のほうにたまっているからです。
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