KAIGOLABの最新情報をお届けします。
2025年には、認知症に苦しむ人は700万人にもなります。実際には、認知症手前の軽度認知障害(MCI)まで含めると、1,300万人もの人が認知症に苦しむことになります。あと少しで、10人に1人の日本人が、認知症を抱えることになるわけです。
日本の社会が認知症といかに向き合うかは、日本の未来にとってとても大事なことになります。認知症の原因となる病気の研究も大事になりますが、同時に、認知症の予防につながる食事や活動の研究にも、大きな期待が集まっています。
そうした中、ひとつ古くから言われてきたことが、科学的な立証に近づいていることがわかったようです。やはり、孤独は人間にとって最悪の状態と言えそうです。以下、日経新聞の記事(2017年11月23日)より、一部引用します。
友人と交流し、地域の活動に参加するなど、社会的なつながりが多い高齢者は、認知症の発症リスクが46%低下するとの研究結果を国立長寿医療研究センター(愛知県)などのチームがまとめ、発表した。(中略)
この結果「配偶者がいる」「同居家族と悩み相談などをする」「友人との交流がある」「地域のグループ活動に参加している」「働いている」に該当する人の場合、発症リスクはそれぞれ11~17%低下していた。すべてに当てはまる人は、ゼロか1つの人と比べ46%下がることが分かった。(後略)
こうして認知症に関することがわかってくると、人間にとって、定年退職(引退)することが、いかによくないことかがわかります。仕事は、たんなる生活の糧を得るための手段ではないのです。仕事をとおして社会とつながり、他者と喜怒哀楽を共にしていくことは、人間が健康に生きていくために必要なことなのです。
同時に、少なからぬ高齢者は、老後の蓄えが足りていないことも判明しています。仕事をしていないと、将来の不安もまた増大してしまい、ストレスも大きくなるでしょう。そうしたストレスもまた、健康に悪影響をもたらします。
これからの日本は、人口減少にともなって、労働力不足になっていきます。これは、高齢者にとって都合のよいことです。働いてお金を稼ぎ続けることで将来の不安を減らしつつ、同時に、認知症のリスクも下げられるのですから、素晴らしいでしょう。
問題は、人工知能の台頭が、どれくらいの速度で、人間から仕事を奪うことになるかという部分です。この速度が早すぎる場合は、高齢者のみならず、社会全体で失業が増えてしまうため、認知症に苦しむ人もまた増大してしまいます。なんとも予測がつかないところですが、注視していきたいです。
※参考文献
・日本経済新聞, 『社会的つながり多い高齢者、認知症リスク46%減』, 2017年11月23日
KAIGOLABの最新情報をお届けします。