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高齢者になれば、だれもが介護が必要になるのかというと、決してそんなことはありません。その本質的なところは「老年症候群」との戦いにあります。「老年症候群」と自覚的に戦うことこそ「介護予防」や「介護度合を高めないこと」そのものです。
「老年症候群」とは、簡単に言えば、老化にともなって現れてくる様々な症状のことを指しています。より厳密には(1)特に外傷や疾患などがなくても発生する生理的老化に伴う症状;難聴、視力低下、夜間頻尿、物忘れなど、と(2)外傷や疾患などによって顕在化する症状、の2種類があります。
一言で老化と言っても、そこには段階的なステップがあります。それは(1)剛健:robust(2)前虚弱:prefrail(3)虚弱:frail(4)要介護:dependent、という4段階のステップです。
この時間軸から考えると「老年症候群」とは、もはや(1)の剛健でなくなり(2)〜(3)の前虚弱・虚弱を示す様々な症状に至ってしまっていることを示すわけです。
特定の症状が現れたときに、それを放置しないで、自分がもはや(1)の剛健ではないという自覚を持つことが大事なのです。特定の症状によって、自らが老化のステップを登りつつあることを自覚し、それを進めないための予防に取り組めるかどうかが、要介護状態にまで行かないために重要なことになります。
例えば、自分の足腰が弱っていることに「気づき」、そこからトレーニングに励める人とそうでない人で、結果には大きな差が出てきます。しかし現実には、多くの人が「老年症候群」に気づくことなく、徐々に弱っていく自分自身に対して、なんら対策を打たないそうです。
介護とは、要介護者の自立を助けるものです。同時に、これ以上介護の度合が上がってしまわないように、介護予防を考えて実施していくことでもあります。
そのとき、要介護者本人が気づかない「老化症候群」を、介護者として注意・観察することが大事になるでしょう。とはいえ「老化症候群」には、専門的には50以上の症状があり、素人ではとても追いきれません。
なので「あれ?もしかして老化が進んだかな?」と感じたら、主治医に相談することが必要になってきます。主治医は、そこから「老化症候群」として認識されている症状を読み取り、そこに対して適切な予防施策を教えてくれます。
※参考文献
・鳥羽研二, 『老年症候群の考え方』, clinician(エーザイ株式会社), vol59(no605), 2012年1月1日
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