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高齢者の中には、介護サービスを利用することを嫌がる人も多くいます。本当は、介護サービスを利用するということは、将来、より大変な状態にならないための介護予防としての意味があります。
しかし、たとえば一般のデイサービスには、様々な要介護状態の人がいます。そうした中で、特に、重い要介護状態にある高齢者をみると「自分は、あれほどの状態ではない」と感じます。そして「ここは、自分のいるべき場所ではない」と考えてしまうことも多いのです。
このような状態になると、周囲がいかに介護サービスを受けるように促しても、なかなか受け入れてくれなくなります。現場の介護職に話を聞く限り、こうした状態になるのは、主に男性の高齢者に見られる傾向です。
あくまでも数名の介護職に聞いた話ではありますが、ある介護サービスは、男性高齢者の利用が増えているといいます。それは、短時間デイサービス(短時間デイ)と呼ばれる、参加の目的が明確化されている介護サービスです。多くは、1〜3時間程度の介護サービスになっています。
そんな短時間デイには様々なものがありますが、その中でも特にイメージしやすいのは、介護予防のために筋力を鍛えることを目的としたものです。フィットネスクラブのような雰囲気があり、プロのトレーナーに付き添われながら、身体の機能訓練を行うというものです。
普通のフィットネスクラブよりも料金的にずっと安いだけでなく、高齢者の身体機能に詳しいプロ(看護師、理学療法士、作業療法士)がサポートしてくれます。そこで利用される器具もまた、高齢者のために配慮された構造になっています。
こうした短時間デイは、理屈っぽい男性でも「これからも自分の足で歩く」という明確な目的が刺さるようなのです。他の利用者とも、同じ目的を共有しているため、友達になりやすいという意見もあります。
より具体的なイメージを持ってもらうために、以下、典型的な短時間デイ(介護予防トレーニング)のプログラムを示します。あくまでも、典型例であって、実際のプログラムは、ケアマネ経由で確認するようにしてください。
プロが、利用者の持病を理解した上で、血圧や脈拍などを測定する。測定結果によっては、トレーニングを中止し、主治医に連絡をするといった対応が取られる。 | ケガを防止するため、また、後のトレーニングの効果を高めるための準備運動を行う。ここでも、画一的な準備運動ではなく、利用者の持病に合わせたプログラムが組まれる。 | 専門のトレーニング機器を使って、全身の筋力を高めるための運動が、プロの指導の下で行われる。利用者の現在の筋力に最適なウエイトなどが選択される。 | 思わぬ段差などで転倒してしまわないように、利用者の歩行能力に合わせて、身体バランスを高めるためのトレーニングが行われる。 | プロが、利用者の持病を理解した上で、血圧や脈拍などを測定する。測定結果によっては、今後のトレーニング計画が見直されたり、主治医に連絡がなされることもある。 |
どうでしょう。プロがついてくれる体力増強のサービスとして、魅力的ではないでしょうか。介護されるような状態になっていなくても、誰もが一度は憧れるようなプログラムだと感じます。
こうしたプログラムを知れば、頑固な高齢者でも「やってみようかな」と感じるかもしれません。ここから介護サービスに慣れていき、最終的には、より多くの介護サービスを利用していくことで、要介護度が上がってしまわないようにもなります。
とはいえ短時間デイも、あくまでも特定の現場での成功事例としての理解にとどめるべきでしょう。それでも、高齢者に介護サービスを利用してもらうことに苦労している人にとっては(少しは)参考になると思います。
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