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ケアマネには、日本の総介護費を管理する役割がある。だからこそ、世帯収入への関心も高めてもらいたい。

優れたケアマネとは?

「優秀なケアマネ」に出会うことが介護の負担を大きく左右する

ケアマネ(ケアマネージャー/介護支援専門員)は、介護におけるキーパーソンです。要介護者を介護する家族から見た介護負担は、ケアマネ次第で、かなり大きく上下します。

介護が必要になって、要介護認定を受けて、ケアマネと契約する段階に至ると、介護者(家族)はやっと孤独ではなくなります。介護について基本的なことをレクチャーしてもらい、ケアプランを作成してもらうと、本当に助かります。

同時に、ケアマネが重要だからこそ、ケアマネとの相性が悪かったり、あまり経験のないケアマネに当たってしまうと、大変なことにもなります。ケアマネが良くないと思えば、介護者(家族)は、いつでもケアマネを変更することができます。

実は、行政から見た「優秀なケアマネ」は、介護者(家族)から見た「優秀なケアマネ」とは、かなりイメージが異なります。このとき、介護者(家族)としては、自分のところを受け持ってくれているケアマネが、果たして、行政のほうを見ているのか、家族のほうを見ているのかを気にする必要があるのです。

行政から見た「優秀なケアマネ」とは?

行政から見たとき「優秀なケアマネ」とは、要介護者の自立を進める人です。結果として、要介護者の要介護度を高めることなく、介護保険の財源を傷めないのが「優秀なケアマネ」です。もちろん、こうした存在があるからこそ、介護保険の枯渇を遅らせることができるという視点は重要です。

そもそも介護保険の財源は、税金と、現役世代から徴収した介護保険料です。このお金を、ジャブジャブと使うべきではないのは明らかです。しかし、現実には、はじめから介護サービスを「最低限」にしようとするケースが散見されます。

これは、生活保護をめぐる不合理とよく似ています。本来であれば、生活保護を受けるべき人が、行政の窓口で追い返された結果としての悲しい事件は、誰もがニュースで聞いたことがあるでしょう。この背景には、税金を無駄にできないという当然の意識があるのですが、ときに「行き過ぎ」もあります。

これと同様に、本来であれば介護サービスを受けるべき要介護者のところに、そうした介護サービスが届けられないという現実もあります。背景には、生活保護のように、財源を無駄にできないという意識があり、それがときに「行き過ぎ」になるのです。

介護者(家族)としては、こうした「行き過ぎ」につかまってしまっては、命が縮んでしまいます。これは比喩ではなく、要介護度の高い要介護者の介護を、仕事をしながら少ない人数でやろうとすると、現実として寿命が短くなる可能性が高いと思われます。

介護者(家族)から見た「優秀なケアマネ」とは?

介護者(家族)から見た「優秀なケアマネ」とは(1)要介護者の代弁者として必要な介護サービスを届けてくれる(2)世帯の収入が下がってしまわないように介護者の負担に配慮してくれる(3)変化する要介護者の状態や介護サービスの品質もモニタリングしてくれる、といったあたりになります。

特に、介護者(家族)としては(2)の世帯の収入が死活問題になります。介護サービスを受けられず、仕事と介護の両立ができなくなり、介護離職をすることになってしまったら、世帯の収入は一気に下がります。介護離職をすると、経済的、肉体的、精神的な負担は、全て上がります。

ここが大事なところですが、ケアマネが無理に介護サービスの出し惜しみをすれば、結果として介護離職が生まれます。介護離職が起こると、その人が離職しなければ得られた収入がなくなります。すると、税収も下がるわけです。

財源のことを考えるのであれば、実は、本当に大事なのは、介護者(家族)の負担軽減のはずなのです。しかし、日本の介護制度は、要介護者を支援するものではあっても、介護者(家族)を支援するものにはなっていません。

仕事と介護の両立のために気をつけたいこと

国家としてもそうなのですが、介護者(家族)としては、とにかく、介護を理由として世帯の収入を減らすべきではありません。この点について理解のあるケアマネと組まないと、大変なことになります。

介護者(家族)は、ケアマネの人格も大事なのですが、それ以上に、ケアマネが仕事と介護の両立を支援してくれることを求めるべきです。要介護者の希望や要望も重要なのですが、先立つものがあっての介護です。

本当にもうギリギリという段階で「仕事を辞めて介護に専念すること」をアドバイスしてくるケアマネと付き合うのは危険だと思います(そんなにたくさんいるとは思いませんが)。もちろん、介護職は、要介護者のことを第一と考える存在ですから、こうしたアドバイスもありえるのは理解できます。

しかし、仕事を辞めて介護に専念すれば、自らのキャリアは閉ざされ、年齢だけが上がっていきます。そして、いざ自分の介護が必要となったときには、収入も途絶えており、キャリアがないので仕事を見つけるのが困難で、生活保護となります。

いろいろな意見があるべきだとは思います。しかし、KAIGO LAB は、そこまで親のために犠牲になるのは「行き過ぎ」という立場をとります。反論もあるとは思いますが「介護離職しても自分はフリーランスで食べていける」という人以外は、転職ならともかく、仕事を辞めての介護への専念は、踏みとどまるべきです(人生はそれぞれなので、例外はもちろんたくさんあるでしょうが)。
 

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