KAIGOLABの最新情報をお届けします。
政府が介護離職防止に対して対策をする企業に、最大60万円の助成金を出すことを決定しました。この金額では介護離職防止の対策にかかる費用をカバーできないものの、一定の意味はあるでしょう。しかし、そもそも日本の介護のためには、介護職の待遇改善が急務であり、この本丸に切り込む必要性を訴えたいです。今回は、その背景について考えてみます。
政府が、介護離職防止に対して対策をした企業に対して、助成金を支払うことがわかりました。安倍政権による「介護離職ゼロ」を実現するための施策としての位置付けになります。以下、産経新聞の報道(2016年1月3日)より、一部引用します。
助成金は「介護支援取り組み助成金(仮称)」と「育児介護支援プランコース(同)」の2つ。いずれも平成28年度から始める。
取り組み助成金は介護休業や時短措置を取りやすい工夫をした企業に60万円を給付する見通しだ。介護に関する社員への意識調査やハンドブック策定などによる制度の周知徹底のほか、法で定める休業を分割取得できるようにする-といった取り組みを想定。企業規模は問わず助成は1回限りとする。
支援プランコースは中小企業が対象で、介護休業からの「復帰プラン」を策定し取得者が出れば30万円、復帰の時点でさらに30万円を給付する方向。社員が正規と非正規のいずれの場合でも助成金の申請ができ、給付額は1企業当たり最大120万円となる見込みだ。
現時点では、具体的にどのような対策をすれば助成金が得られるのかはわかりません。また、この助成金を得るための手続きが、どれほど大変なものであり、かつ、この制度の運用にかかる費用もわかりません。
ただ、介護離職防止のためには(1)従業員の介護に対する理解を向上させること(2)休暇などを取得しやすい体制・制度を構築すること(3)介護支援相談員のような相談窓口を設置すること、といった複合的な対策が必要になります。
これらをきちんと導入する場合、その費用は、60万円ではきかないと思われます。60万円を取得するための手続きにかかる費用のほうが、もしかしたら高くなってしまう可能性も否めません。
日本の介護をマクロに見た場合、人材の獲得がボトルネックになっています。その理由としては様々なものがあるのですが、特に、介護職の待遇が悪いというところが大きいと考えられます。介護職の平均給与は、年収ベースで、全産業の平均よりも100万円以上も安いのです。
今回のような助成金も大事かもしれません。しかし、それ以上に大事なのは、介護職の待遇改善です。仕事と介護の両立には、介護サービスの活用がかかせません。しかし、介護サービスを提供する事業者が、人材確保ができず、倒産・廃業・休業している現在、ここが非常に危なくなってきています。
日本は、ただでさえ、これから労働人口が減っていくのです。人材は、様々な産業の間で「取り合い」になります。にもかかわらず、これから介護が必要な高齢者は激増していくのです。
このままでは、親の介護のために離職し、本人の老後は生活保護しかないという、あまりにも悲惨な未来に行き着いてしまいます。なんとしても、介護職に人が集まるようにしないとなりません。
※参考文献
・産経新聞, 『政府が介護離職防止へ助成金 企業対象に工夫を後押し』, 2016年1月3日
KAIGOLABの最新情報をお届けします。