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介護のプロたちが、介護離職をしていく。

看護師

日本看護協会が厚生労働省に要望書を提出している

現在、看護師の平均年齢は40歳前後です。育児をしている人も多いですし、そろそろ介護もはじまるころです。実際に、日本看護協会(会員69万人)は、厚生労働省に対して、仕事と育児・介護の両立支援の要望書を提出しています(2015年5月22日)。

ヘルパーの平均年齢は45歳前後、ケアマネは48歳前後になっています。こちらはまさに、介護がはじまる年齢(40〜50代に多い)に相当し、そもそも介護業界にいるプロフェッショナルたちも、仕事と介護の両立に悩んでいたりするわけです。

特に、介護業界にいる人々には「あなたはプロなんだから」ということで、家族の介護を求められることが多いようです。家族の中で介護についてもっとも詳しい人に、介護をお願いしたいという家族の気持ちも理解できます。

ただでさえ人材不足なのに・・・

KAIGO LAB が関係している介護のプロたちに聞いたところ、介護の現場でも「親の介護を理由とした退職」が増えてきているという意見があることがわかりました。統計的にはわかりませんが、それでも「介護職が介護を理由に離職」というニュースは、現場で、皮肉交じりに語られていると言います。

仕事と介護の両立には、介護のプロの存在が不可欠です。しかし、そうした介護のプロたち自身が、介護を理由に現場を離れるとしたら、どうなるのでしょう。ただでさえ人材不足と言われる介護業界から、ますます人がいなくなるとするなら、本当に厳しいです。

仕事と介護の両立をするためには、時短勤務などが必要になります。そうなると、収入は減るのが普通です。少なくなっても、なんとかやれる待遇の業界にいる人は、退職する必要性は高くありません。しかし、介護業界の待遇は、非常に悪いわけです。

たとえば、介護福祉士の月給は、手取りで15〜17万円前後(年収は250万〜400万)です。夜勤や、日曜・祝日の当番もあります。そんな介護業界にいる人が、仕事と介護の両立が必要となったとき、もはや収入的に、介護業界にはいられなくなります。そして、介護業界よりも待遇のよい仕事はたくさんあります。

いい加減に、介護業界の待遇改善をしないと間に合わない

これから、人口ボリュームの大きい団塊の世代の介護がはじまります。それを担うのは、団塊ジュニア世代(現在の40代前半)です。介護職の平均年齢は、ほぼ、この団塊ジュニア世代に相当します。

ここに対して、社会的なケアをしないと、日本の介護が本当にダメになってしまいます。これを回避するためには、どうしても、介護業界の待遇改善が必要です。肉体的にも、精神的にも辛い仕事で、手取りが15〜17万円というのは、どうしても無理があります。そこで時短勤務をしたら、手元に残るのはいくらになるのでしょう・・・。

※参考文献
・日本看護協会, 『厚労省雇児局へ要望書を提出 仕事と育児・介護の両立支援の強化などを求める』, 2015年5月22日
 

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