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「介護離職ゼロ」という掛け声の影響が大きすぎて、少なからぬ企業の経営者は、誤解をしています。介護離職者がいなければ、うちの会社には介護の問題はないというのは、間違いです。もちろん、介護離職者が少ないということは良いことではありますが。
本当の問題は、仕事と介護の両立に苦しんでいる従業員のエンゲージメントが毀損することです。そうしたエンゲージメントの毀損が、結果として介護離職になることもあります。しかし現実には、仕事を辞めていなくても、介護の負担によって、仕事への集中力が失われている従業員は多数いるわけです。
ヒヤリハットのようなもので、1人の介護離職者の裏側には、10人の介護離職を検討する従業員がいて、さらにその裏側には介護に悩む100人の従業員がいたりします。会社として、仕事と介護の両立を支援することは、従業員の介護の負担を軽減し、エンゲージメントを高める手段なのです。
では、こうして従業員の介護の負担を軽減するには、具体的に、どういう仕事が必要になるのでしょう。これまで、手探りで進められて来た施策としては(1)介護研修の提供(2)介護パンフレットの作成(3)介護相談窓口の設置(4)各種休業制度の整備(5)リモートワークの整備、といったことでした。
ただ、介護研修には「来てもらいたい人に限って来てもらえない」という悩みがあります。介護パンフレットは、まず読まれることはありません。介護相談窓口も、設置はしても、使ってくれる従業員は少ないのが実情です。休業やリモートワークは、それなりに機能しているように見えます。
もちろん企業によって、支援が優れたレベルにあるところと、まだ検討中というところに分かれます。ただ、どこの企業も、自分たちの支援が十分だとは思っていません。そして、より優れた支援のために必要なのは、介護離職ゼロを目標にするのではなく、従業員の介護負担を測定し、それを下げることを目標にすることです。
従業員の介護負担といっても、具体的に何を、どのように測定すれば良いのでしょう?よくあるのは「仕事と介護の両立を不安に感じるか?」という質問による測定です。この質問は、精神的負担の大きさを聞いているわけです。そして、支援が進んでいるなら、この不安は小さくなっていくはずです。
また「仕事と介護の両立に関する職場の理解はあるか?」というのも重要な測定になります。職場の周囲が介護の大変さを理解してくれていると、急な休みなども取得しやすくなりますし、仕事の役割分担も、そうした理解を前提として実施されるので、負担が小さくなるからです。
不安がなく仕事に集中でき、周囲も介護についての理解がある場合、その職場を離れる理由がなくなるでしょう。それは結果として、介護に苦しむ従業員のみならず、将来の介護を不安に思っている従業員のエンゲージメントも高めてくれることは明らかでしょう。
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