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ファンケル、週20時間労働でも正社員として働ける制度をスタート

ファンケル、週20時間労働でも正社員として働ける制度をスタート

企業の介護支援競争がはじまっている

人材難の時代となり、企業は、従業員の維持に力を入れ始めています。そうした中でもホットなのが、仕事と介護の両立に苦しむ従業員の介護支援です。各社様々な支援策を打ち出しており、さながら、介護支援競争とも言える状況が生まれつつあります。

とはいえ実際には、どこの人事部も、具体的な支援策の設計に頭を悩ませているというのが実情です。過去に対応したことのない問題ですし、人事部の中に、介護について詳しい人材がいることも稀だからです。

また、いうまでもないことですが、従業員の介護支援に対する情熱は、企業間で大きな格差があります。本当に深刻にとらえて本気で対応している企業もあれば、ほとんど何もしていない企業もあります。この問題を甘く考えている企業は、遅くても2025年までには、恐ろしいことになるでしょう

ファンケルの介護支援に関する取り組み

化粧品大手のファンケルが、従業員の介護支援について、新たな雇用区分での対応を打ち出しています。どこの人事部でも考えておくべき内容で、参考になるでしょう。以下、日本経済新聞の記事(2019年2月5日)より、一部引用します。

ファンケルは5日、介護や長期療養が必要な病気を抱える社員向けに新しい正社員の雇用区分「アソシエイト正社員」を設けると発表した。社員の状況に合わせて通常よりも短い時間や日数でも正社員として働ける。(中略)

週に20時間以上働く要件を満たせば短時間・短日数でも正社員として働ける。「アソシエイト正社員」の期間は設けない。給与は働く時間に応じて通常の正社員より低くなるが、退職金は変わらない。社員の介護や病気の状況が変われば通常の正社員に戻れる。(後略)

労働時間を短くしても正社員の資格を失わない

このファンケルの施策のポイントは、労働時間を短くしても正社員としての資格を失わないというものです。こうした施策のある企業であれば、従業員は、企業とのエンゲージメントを高めるのは当然です。

育児や介護など、必要に応じて、正社員の資格を失わないままに、自分の労働時間を自由に上下できるという制度は、従業員にとってありがたいことです。ただ、このような制度を設置できるのは、基本的に大企業に限られるはずで、今後、大企業と中小企業の格差が広がってしまうことは心配です。

とはいえ、別の見方をすれば、従業員を守ることができない中小企業は淘汰されるということで、それも仕方のないことなのかもしれません。そもそも、中小企業が多すぎることが、日本の生産性が低くなってしまう原因とも考えられており、ここは、介護問題をきっかけとして、進むところまで進んでしまう可能性があります。

※参考文献
・日本経済新聞, 『ファンケル、介護や病気を抱える社員に新制度』, 2019年2月5日

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