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働きながら介護をする人が増えてきています。2012年から2017年までの5年間でも、291万人から346万人へと、仕事と介護の両立に苦しむ人が増えているのです。今後、この数字はさらに増えていき、2025年には1,000万人を超える可能性さえあるのです。
様々な調査では、働きながら介護をする人の約3割くらいが、将来のどこかの時点で、介護のために仕事をやめなければならないと考えていることがわかっています。いまのところ、介護離職をする人は、毎年約10万人と横ばい状態を続けてはいます。ただ、いずれは、この数字は数倍に膨れ上がっていく可能性もあります。
介護離職をする人の過半数は40〜50代です。この年齢層は、仕事で大きな責任を負っているケースも多く、こうした人々の介護離職は、企業にとってかなりの痛手です。介護離職をした人の代わりを見つけることも困難です。そうして企業の業績が悪化すれば、ただでさえ足りない税収も減ってしまいます。
現在、日本における労働者の数は約6,000万人(雇用者数, 2018年8月時点)です。仕事と介護の両立に苦しんでいる346万人は、これに対して約6%(18人に1人)にすぎません。介護は、いずれは誰もが関わることになるライフイベントです。ただ現時点では、まだ、仕事と介護の両立をする人はマイノリティーなのです。
企業の中には、今後、仕事と介護の両立に苦しむ従業員が増えることを想定し、様々な介護支援を準備しているところも出てきました。しかし、多くの企業においては「まだ深刻な状態ではない」ということを理由に、介護支援の施策は、国が指定している介護休業制度しか準備していないのが実情です。
さらに中小企業に限っては、そもそもマイノリティーのために特別な対応をする余裕があるところも少なく、介護問題が真剣に議論されること自体が稀です。確かな統計はありませんが、中小企業は、介護をしながら働ける場にはなっていない場合が多いため、むしろ介護離職が起こりやすい状態にあると考えられます。
18人に1人という数字は、マクロにみるとマイノリティーですが、それなりの数字です。この割合は、今後増えていくことと合わせて考えると、マイノリティーとはいえ、部署に1人はいるくらいの計算いなるでしょう。ただ、これは嵐の前の静けさにすぎません。
2025年には、人口ボリュームの大きい団塊の世代が75歳(後期高齢者)になります。後期高齢者になると、介護が必要になる人(要介護出現率)が、それ以前の2倍以上に増え、そこから急速に増えていくという傾向があるのです。つまり、18人に1人という割合は、この時点で9人に1人となり、さらに進む可能性があります。
2030年あたりには、5人に1人の現役世代が、仕事と介護の両立に苦しむようになるかもしれません。そこまで、あと10年程度で一気に進んでいくわけです。このジェットコースターを乗り切るために、今の時点から準備をしている企業と、なんの準備もできていない企業には、大きな差が生まれて当然なのです。
※参考文献
・yomiDr., 『介護と仕事(上)働き続ける道 見えなかった』, 2018年10月22日
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