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NEC、仕事と介護の両立に向けた週休3日制度を導入

NEC、仕事と介護の両立に向けた週休3日制度を導入

従業員の介護支援ニーズに応えようとする企業

今の日本は、未曾有の人材不足に見舞われています。労働人口の減少と好景気が重なっているためで、中小企業の場合は、人材不足が原因の倒産も増えています。そうした中、企業は、それぞれに従業員の介護支援ニーズを把握し、それに合った支援策を打ち出しています。

まずは、そもそも介護支援ニーズの把握の段階でも難しく、そこで詰まっている企業も多いのです。そんな状況にあって、他社よりも支援が進んでいる企業も出てきました。マイナビニュースが、NECのケースを報道しています。以下、その記事(2018年10月4日)より、一部引用します。

NECは10月4日、従業員の多様な介護のニーズに対応するため、あらかじめ設定した週の1日を不就労日とし、当該曜日は勤務しないことを認める介護短日勤務制度を10月に導入したと発表した。(中略)

同社はこれまで介護休職制度や介護短時間勤務制度など仕事と介護の両立に配慮する制度を導入するほか、介護休職給付金や介護転居費用補助、介護環境整備支援金といった公的介護保険を補完する経済援助施策にも取り組んできた。(後略)

手取りが減ることへの対策も必要だ

こうして、柔軟な働き方が認められるようになっていくことは素晴らしいことです。ただ、介護のために労働時間が減ってしまうのは仕方ないとして、それと合わせて手取りまで減ってしまうと大変です。親の介護に、お金を持ち出すことになるのは普通のことなので、手取りが減ると生活が困難になるからです。

とはいうものの、労働時間が減っているのですから、一般の人事制度からすれば、手取りも減ることになるでしょう。しかし、この状況にこそ、働き方改革が適用されていくことが大事だと思います。まずは、リモートワークなどで労働時間を減らさない工夫が有効でしょう。

しかし長期的には、より短い労働時間でも、より大きな成果を出せるような業務プロセスの見直しが必要です。本質的には、働き方改革は、より少ない労働力でも、より大きな成果を出せるような社会への変革を意味しているからです。

介護をしながら働くことが当たり前の社会に

これから、介護をしながら働いていても、成果があれば、給与も向上し、昇進昇格していけるような企業が増えていくでしょう。ただし、ここには大きな二極化が出てくるのも避けられません。そうした困難を実現する企業は、さらに業績を伸ばしていきます。しかし、これを乗り越えられない企業も出てくるでしょう。

従業員が、仕事と介護を両立できない企業からは、当然、人がいなくなります。そうしていなくなるのは、なにも、介護に苦しむ従業員だけではありません。そうして人が抜けていくと、介護をしていない従業員にも仕事の負担がのしかかってきます。しかし、現代の厳しい罰則をともなう残業の上限規制は、これを許しません。

人が足りないのに、残業はできないという環境は、企業を急速に弱体化させます。企業が活動しているのは弱肉強食の環境ですから、そうして少しでも弱った企業は、どんどん淘汰されていくことになるでしょう。今回のNECのケースのように、介護支援の制度を整えることは、企業にとって死活問題になりつつあるのです。

※参考文献
・マイナビニュース, 『NEC、無期限の週休3日の介護短日勤務制度を導入』, 2018年10月4日

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