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日本企業の99.7%は中小企業です。そこで、日本の労働者の71%が働いています。中小企業は、日本における付加価値の51.2%を創出しており、イノベーションの45%を担っていると考えられています(中小企業庁, 2016年)。
特に地方に限定すると、8割の労働者は中小企業で働いています。都市部では大企業の割合が大きくなる傾向があり、地方では、働く場としての中小企業の重要性が増すことが知られています。たとえば青森、秋田、山形、奈良、鳥取、島根、徳島、高知、佐賀、長崎、熊本、宮崎においては、9割の労働者が中小企業で働いています。
そんな中小企業が、毎年、平均にして5万社という勢いで消滅しています。移動する労働力の特徴としては中小企業から大企業へ、そして製造業からサービス業へという流れがあります。地方には、中小の製造業が多いため、この流れは地方にとってかなり厳しいものになっているのです。
私たちは、この流れがある前提で、自らのキャリアを考えていかないとなりません。特に、親の介護を理由に田舎に帰ることを考えている人は、その田舎には、かつてのような雇用の受け皿となる中小企業は存在していないことを認識する必要があります。
運良く雇用の場があったとしても、それは、急速な勢いで消滅に向かっています。そのため、その雇用がいつまで安定的に存在するかは未知数です。地方で仕事と介護の両立を考えるなら、残念ですが、福利厚生もしっかりしている地方の大企業のほうが比較的安全です。
ただ、大企業も、厳しいグローバル競争に巻き込まれており、安泰とは言えません。そうなると個人としては、将来、地方で暮らす可能性があるなら特に、物理的な出勤を必要としない、ウェブで完結できる副業を持っているほうが有利でしょう。
結局のところ、人口減少社会においては、企業はもちろん、そもそも人間がいなくなるわけです。2010年との比較という意味では、2050年までには、6割以上の地方で、人口が半減します。そうした地方においては、たとえ赤字ではないにせよ、中小企業の経営が成立しなくなっていきます。
もちろん、都市部でもそうした影響が出てきます。都市部と言えども、人口減少の影響を大きく受けるからです。ただ、介護をきっかけとして地方で暮らすことを決める人を周囲で見聞きするような時代にあって、こうした認識はどうしても必要になってくるはずです。
どこで暮らしていても、運が悪ければ、様々な不都合に見舞われます。しかし、運に任せてしまう前に、情報をしっかりと取得して、運の要素を少しでも減らすという態度は、右肩下がりが明らかとなっている日本においては、とても重要なものになっていると考えられるのです。
※参考文献
・中小企業庁, 『中小企業・小規模事業者の現状と課題』, 2016年10月
・朝日新聞, 『中小企業、大廃業時代へ 年5万社減、地域崩壊の危機も』, 2018年7月14日
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