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(前編からのつづき)
荒木裕子さん
イメージ・コンサルティングの専門家である、荒木裕子さん。ご自身の介護を振り返ってみて、この専門性を介護に活かすとしたら、どのようなことが考えられるか、聞いてみました。
とはいえ、イメージ・コンサルティングは、個人の背景まで迫った上で、ほとんど丸一日かけて調査・検証するものです。本来は、個人を対象としたものであり、今回のようなアドバイスは、あくまでも「一般論」としてのレベルであることをご了承ください。
普段のお仕事が、動きやすいカジュアルなものであるべき職場なので、それはそれで良いと思います。そうしたカジュアルな服であればこその、優れた介護実務があるのですから。
ただ、実際に介護サービスを決めていく介護者や、介護を受ける被介護者(利用者)は、その多くがビジネスパーソンとしての経験をお持ちです。そうした方々と、特に初めてお会いするとき、普段どおりのカジュアルなものでは、あまり印象が良くありません。お客様を「リスペクト」しているようには感じられないからです。
普段はカジュアルな服装のほうがよい職種であっても、印象を整えることが大事な場面は、必ずあるでしょう。一般には、そうした職種の方々は、ロッカーには常にスーツがあって、必要に応じて着替えたりしています。それが難しくても、せめて清潔感と、キリッとしていて信頼がおける印象を与えるようなカジュアルを心がけると良いと思います。
介護では、辛いことが多いので、ファッションになど構っていられないというお気持ちはわかります。そもそも、そういう事体ではないことも、本当に多いと思います。私自身も、母親の介護をしていたので、ここは理解できます。
どうしようもない状況があることを理解した上で、なにか言えることがあるとすれば、それは、優れたファッションには、自分の気持ちをポジティブにさせる効果があるということです。
飾り立てる必要はありません。ただ、身に着けていると少しでも元気になれるようなアクセサリーや服の力を借りることで、少しでも元気を得ていただきたいと考えています。辛いのに、その辛さそのものを無くすことができないとき、ちょっと「おしゃれ」をして、気分転換してみるという選択肢があることを忘れないでください。
着るものを自分で選ぶことができないような場合も多いと思います。この話が届くかどうかもわかりません。それでもなお、伝えたいことがあります。
それは、介護者(介護をする人)にとって、日々弱って行く「愛する人」の姿を見るのは、とても辛いということです。もちろん、そうした姿を見せるほうが、もっと辛いということは明白です。
余裕がない場合は、当然、このような意見は無視してください。それでも、少しでも余裕があるときは、ご自分が好きな服をきたり、少し「おしゃれ」をしてみたり、そうした楽しみがあることを思い出してみてください。それによって、周囲のみなの気持ちが、ほんの少しだけ、楽になるかもしれません。
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