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仕事と介護を両立する秘訣?研究者に「目ウロコ」な事実を聞いた!

林邦彦さんは、現在、福利厚生代行会社にて、戦略企画室を統括しています。そうした中で、介護について、長年問題意識を持ってきました。それは、戦略企画の担い手として、長期的な視野で「あるべき福利厚生」を考えてきた結果でもあります。

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林邦彦さん

林さんのお父様は、要介護3の認定を受けています。林さん自身が、介護の大変さを経験しています。そうした中で林さんが得た教訓は「介護とは、家族と介護サービスのプロによるチーム戦である」というものです。

林さんは、働きながら社会人大学院に通い、この教訓の理論化を行いました。それは、林さんの修士論文『仕事と介護の両立 〜働く介護者の介護マネジメント分析〜』として結実しています。卒業した今も、社会人大学院の「研究生」として、研究を続けています。

研究者としての問題意識は、介護に関するビジネスパーソンの研究には、介護をきっかけとして「退職」するというケースばかりであるということでした。そこで林さんは「仕事と介護の両立」という視点から、15名のケースを追跡したのです。林さんは、そこから「仕事と介護の両立」に必要な要因を洗い出しました。その内容を、以下に簡単にまとめます。

仕事と介護の両立に必要な要因とは?

(1)介護者は、家族と介護サービスで構成されたチームのマネージャーであるという意識を持つこと。現実に、日々のビジネスにおいて、マネジメント経験がある人のほうが「仕事と介護の両立」に成功している。逆に言えば、介護経験は、マネジメントのトレーニングにもなる。

(2)介護とはマネジメントであると理解し、介護に関わる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を把握し、それぞれの資源を「成長」させること。「ヒト」であれば、介護を支えるための新たな人脈を築き、それを効率的に維持・活用すること。「モノ」であれば、介護負担を軽減させる商品・サービスなどを調査し学び活用すること。「カネ」であれば、様々な介護の制度を理解して無駄な出費をおさえ、必要なサービスをよりうまく使うこと。そして「情報」は、介護全体を俯瞰して考えられるような良質なものにアクセスし、学ぶこと。

(3)企業のサポートが必要。企業が、働く介護者のニーズを把握すること。介護に関して相談できる職場の雰囲気を醸成していくこと。ただし、ビジネスパーソンにとって、自分が介護役割を担っている現実は、カミングアウトしにくいことを理解する必要がある。デリケートな課題であり、ここに対応するには、介護の専門家としての旧来の「介護相談窓口」では不十分。仕事と介護の両立を支援できる「両立支援アドバイザー」などが必要。相談窓口の数はもちろん、その中身については「仕事と介護の両立」という視点が重要。

林さんが、KAIGO LABに期待すること

最後に、林さんに、KAIGO LABに期待することを聞いてみました。基本的には、介護とは、介護者による「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の育成管理です。これを助けるためのサイトであって欲しいとのことでした。より具体的には、以下の3点に集約されます。

・現役のビジネスパーソンが「仕事と介護を両立」させるために有益な情報を提供すること
・仕事と介護の両立には、どうしても会社組織による支援が必要であることを社会に訴えていくこと
・家族との役割分担など、多くの介護者の負担やトラブルになりやすいポイントに関する有益な解説すること

KAIGO LABは、この「仕事と介護の両立」を目指す研究者からの要望に、ぜひとも応えていきたいと考えています。応援、よろしくお願いします!

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

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