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市場調査会社の富士経済が発表した『“Welfare”関連市場の現状と将来展望2016』が、話題になっています。まず、介護福祉関連機器・サービス市場全体は、2015年の8,268億円が、2021年には1兆879億円にまで38%成長することが予測されています。
特に、介護ロボットは、いよいよ成長段階に来ていると考えられており、2015年の16億円から、2021年には155億円と、およそ20倍の成長が見込まれています。
注意したいのは、ここで成長が予想されている介護ロボットは、歩行補助・リハビリサポートなどのロボットであり、要介護者の介護を直接行うような「RIBA」のようなロボットではありません。
介護業界は、慢性的な人手不足です。介護の仕事の中でも、要介護者の移乗(ベットから車イスに移動させたり、車イスからトイレに座らせたりといった要介護者をA地点からB地点に移動させること)が、とても大変な仕事です。
この移乗の仕事があるので、介護業界における職業病(業務上疾病)として報告されるものの約8割を占めるのが「腰痛」です。ご存知の方も多いと思われますが「腰痛」は本当につらく、これを理由として介護業界を辞めていく人もいるほどです。
オーストラリアで開発された「腰痛」にならない「ノーリフト」という方法もあるのですが、普及させるのは大変で、まだ介護業界でも一部にしか導入されていません。また「ノーリフト」には、新たな器具の導入が必要となるケースもあり、経営に苦しむ介護事業者は躊躇してしまうこともあります。
介護職の専門性には、もちろん、移乗が含まれています。しかし、親の介護をする家族から見て、介護職が本当に重要だと感じるのは「要介護者の生きるモチベーション」を高めてもらうときです。
自信を失っている要介護者に対する「え、そんなこと、◯◯さんなら、できるようになりますよ!」といった介護職の言葉が、要介護者にどれほどの勇気を与えるか、この目で見たことがあります。
ときに、家族以上に要介護者のことを理解して、要介護者の幸せに生きたいという気持ちを刺激して、自立を助けるということは、決してロボットにはできません。こうした、介護職の技が「腰痛」によって奪われてしまうのは、本当にもったいないです。
介護職が、もっと本来の仕事に集中できるようになるためにも、是非とも、移乗をサポートする介護ロボットの開発を急いでもらいたいです。それは、ロボット産業を新たな基幹産業とすることだけでなく、多くの日本人を救うという意味でも、日本の国力に直結しています。
※参考文献
・マイナビニュース, 『2021年の介護福祉関連機器/サービス市場は1兆円超へ – 富士経済が予測』, 2016年1月25日
・エコノミックニュース, 『介護ロボット市場は2021年に20倍に』, 2016年1月26日
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