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電動車椅子が、自動運転の未来を制するか?

電動車椅子が、自動運転の未来を制するか?

イノベーションのジレンマ

経営学の世界で有名な理論に「イノベーションのジレンマ」というものがあります。これは、イノベーションの多くは、既存の商品と比較して、性能的に劣るところから始まるという事実を背景とした理論です。たとえば、初期のデジカメは、フイルムカメラの描画力の足元にも及ばなかったことを思い出してください。

これと同じことが、自動運転の未来にも起こりそうです。普通に考えれば、自動運転の自動車を作るのは自動車メーカーのように感じられるかもしれません。しかし「イノベーションのジレンマ」からすれば、その未来を作るのは、電動車椅子のメーカーである可能性があります。

運転免許を返納した高齢者にとって、日常的な足になっていくのは、少なからぬケースで、電動車椅子です。もちろん、車椅子を必要としない高齢者も多数いますが、車椅子とまではいかないまでも、日常的に足として使える移動手段へのニーズは高いはずです。ここにイノベーションが求められていることは間違い無いでしょう。

自動車ディーラーで電動車椅子が販売されている?

そうした中、自動車ディーラーで、電動車椅子の販売が開始されているというニュースが入ってきました。やはり、高齢者の自動車事故と免許返納の流れが、これを後押ししているようです。以下、SankeiBizの記事(2019年7月23日)より、一部引用します。

高齢ドライバーの運転免許返納後の移動手段の一つとして電動車椅子に注目が集まっている。5月には、大阪府内で15店舗を展開する自動車ディーラーの「大阪マツダ販売」(大阪市)が、自動車からの買い替え需要を見込んで店頭販売を始めた。(中略)

電動車いす安全普及協会によると、平成30年の出荷台数は2万4772台となり、直近5年間で5千台以上増えた。高齢ドライバーによる事故が社会問題になっただけでなく、29年3月施行の改正道交法で75歳以上の免許更新の際の認知機能検査が厳格化されたことで、需要が一気に押し上げられた可能性がある。(後略)

この自動車ディーラーで販売されているのは、かつてKAIGO LABでもご紹介した次世代型電動車椅子WHILL(ウィル)です。少しずつですが、介護業界から、外の業界に向けたイノベーションの浸透が起こっていると考えて良いでしょう。

電動車椅子は、もっともっと発達する

現在の電動車椅子は、自動車と比べれば、速度も出ないし、様々な面で性能的に自動車に劣っているでしょう。しかしこれは「イノベーションのジレンマ」からすれば当然の状態であり、今度、電動車椅子の能力は、自動車に近づいていきます。

これに対して自動車は、もちろんその能力を高めていくでしょうが、電動車椅子の発達速度と比較すれば、微々たる改善になってしまう可能性が高いのです。しかも、免許返納を終えている高齢者は、そうした自動車を買うことはありません。

これから電動車椅子は、もっともっと発達します。小型で室内でも利用できる電動車椅子は、まだしばらくは高速道路を走ることはないでしょう。しかし「イノベーションのジレンマ」に従えば、そうした小型の移動手段も、いつかは高速道路を走行するようになっていく可能性が高いのです。日本が、自動車と同じように、この分野でも世界で認められる国になっていくことを期待しましょう。

※参考文献
・SankeiBiz, 『高齢者の免許返納で注目、電動車椅子 普及への課題は』, 2019年7月23日

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