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介護ロボットには、多くの期待が寄せられています。実際に、数多くの企業が介護ロボットの開発と販売に努力しています。しかし、介護業界からの視線は、それほど歓迎ムードとは言えないように感じます。
もちろん、介護ロボットが目指している「より良い介護を効率的に行う」ということが実現することに反対する人はいません。ただ、今のところ、少なからぬ介護ロボットは(まだ)発展段階にあって、導入しても、面倒なだけで、期待している効果が得られないという人も多いのです。
介護業界が人手不足で、新しいことを始めるための余裕がないということにも配慮する必要があるでしょう。とはいえ、介護ロボットの介護現場への導入は、少しずつではあっても、こうした否定論を乗り越えて、浸透し始めています。
多少の面倒はあっても、介護ロボットの導入が比較的進んでいるのが入浴・排泄介助の分野です。この分野には、介護を受ける要介護者が、そもそも、他者に介助されることが恥ずかしく、むしろ、人間ではない介護ロボットによる支援が望まれているという背景があります。
入浴・排泄介助が、完全ではないにせよ、その一部であっても、介護ロボットによる介助に置き換わっていくことは、要介護者のQOLにも直結しています。ここについては、介護のプロたちも認識しているため、面倒でも支援したいという気持ちにもなりやすいでしょう。
現実として、徐々にではありますが、入浴・排泄介助の領域で、介護ロボットの実用化が進み始めているのです。その一例として、以下、秋田魁新報の記事(2019年7月10日)より、一部引用します。
秋田県内の介護事業所で、介護ロボットを活用する動きが徐々に広がっている。介護従事者の負担軽減が主な狙いだ。ただ、普及率はまだわずか。県は経費を補助し、導入を後押しする。
秋田市手形の「デイサービスり・あくと」は昨秋、入浴支援の介護ロボットを導入した。浴槽内での利用者の立ち座りをリフトがサポートしてくれることから、利用者、職員双方の負担軽減につながったという。(中略)
り・あくとの運営会社の村井順社長は「利用者を抱え上げる際の負担で職員が腰痛になり、働けなくなることが一番の不安だった。リフトのおかげで負担を大きく減らすことができ、今ではなくてはならない機器になった」と話す。(後略)
現場で使われることによって、製品はどんどん発展していきます。こうして、少しずつでも介護ロボットが発展していくと、介護産業の輸出という話も夢物語ではなくなります。入浴・排泄介助の分野については、すでに世界中で、実用に耐える介護ロボットが望まれているからです。
介護サービスの輸出については、文化の差に代表される様々な困難があり、簡単ではありません。しかし、かつての自動車産業がそうであるように、サービスではなくモノであれば、文化の差も多少は影響する(例えば湯船に浸かるという文化が薄いところもある)ものの、日本には輸出の成功体験があります。
まず、介護機器が世界への扉を開き、自動車産業に匹敵するような、日本の大きな産業として発展していければ、日本の多くの問題が解決に近づきます。多少の面倒があっても、介護ロボットを導入する介護現場は、そのための投資に参加しているとも考えられるのです。
※参考文献
・秋田魁新報, 『介護ロボ導入じわり、県内事業所 職員と利用者の負担軽減』, 2019年7月10日
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