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2016年11月11日〜13日までの3日間、中国の広州にて、シルバー産業の展示会「第3回中国国際シルバー産業博覧会」が行われました。介護用品(福祉用具)の見本市に相当するもので、全体で300社が、日本からも30社が出展をしました。
第1回(2014年, 上海)のときは、150社が出展し、1.9万人の来場者があったそうです。第2回(2015年, 広州)のときは、200社が出展し、来場者も3万人に増加しました。そして第3回となる今回は、300社の出展にまで成長し、来場者数も5万人が見込まれました。
日本の介護用品の技術力の高さには注目が集まっており、今回より特設の「ジャパンゾーン」が設置されています。また、同博覧会の開催初日(11日午後)には、会場内で「日中(広東省)高齢者産業交流会」が実施されました。
中国では、高齢者(60歳以上)の数が2億2,000万人を超えています。そのうち、介護が必要とされる人も4,000万人にものぼるそうです。当然、介護サービスや介護用品へのニーズが高まっており、世界中から企業が集まってきています。
国の財源枯渇によって、売上が縮小する傾向に悩む日本の介護事業者にとって、この市場は魅力的です。今回は、30社の出展でしたが、次回以降、さらに成長していく展示会になりそうです。
ただ、本件について、ある介護用品メーカーの人と話をしたところ「中国の技術力も高いので、下手に出展したら、自社の技術をコピーされてしまう」という返答が返ってきたのです。この指摘は、とても重要だと思います。
中国は、いまや世界の工場とも言われ、世界中のモノを作る場になっています。自社では工場を持たず、中国などの低賃金国の工場で、代わりにモノを作ってもらう「ファブレス」という経営手法も、世界的に定着しました。
しかし最近では、中国でも人件費が高騰し、中国の工場では、コストがあまり安くならないということが起こってきています。世界中のメーカーが中国の工場を離れつつあるのです。
中国側から見れば、これは、下請けの工場としては生き残れない時代の到来です。人件費が高いのですから、下請けよりも付加価値の高い仕事をしなければなりません。それが、独自のメーカーとして、商品の設計から製造までを行うという流れです。
昔の日本のメーカーには、世界中の展示会に足を向け、そこで技術を吸収したという背景もあります。そして、他国よりも安くてよい商品を生み出し、世界のメーカーとして発展した時代もありました。中国のメーカーが目指しているのは、これと同じことです。
今回の展示会に出展した日本のメーカーは、中国市場での売上拡大を狙っているのでしょう。しかし、こうした産業の歴史を前提としておかないと、自分たちのライバルを育てることになり、逆に彼らが日本に進出してくるといったことが起こりえます。
いかなる競争であっても、相手の実力を見誤るとき、痛い思いをすることになります。中国のメーカーは、確実に実力をつけてきています。日本のメーカーはこの前提を踏まえながら、中国市場において成功するための戦略を立てていく必要があります。
※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『日本の介護サービスなどを紹介 高齢化進む中国』, 2016年11月11日
・日本貿易振興機構(ジェトロ), 『「第3回中国国際シルバー産業博覧会(広州)」ジャパンゾーン出展と「日中(広東省)高齢者産業交流会」』
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