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食中毒は、特に、幼児と高齢者において、重度化しやすい、恐ろしい症状です。この食中毒、食品が劣化しやすい夏に起こると誤解されることが多いのですが、統計をみると、食中毒のピークは12月〜3月の冬となっています。
背景にあるのは、ノロウイルスを代表としたウイルスによる食中毒の存在です。見た目は新鮮な食品であっても、そこにわずかでもウイルスがあれば、食中毒が発生してしまいます。ウイルスによる食中毒は、古くなって劣化した食品内で増殖するわけではなく、むしろ場合によっては、新鮮な食品のほうで多くなる場合もあります。
「新鮮だから安心」というのは、間違いなのです。調理前にしっかりと手洗いをし、十分に火を通すというあたりまえのことが、こうしたウイルス起因の食中毒を減らすために効果があります。ただ、それでも足りない可能性があるのです。
ただ、ノロウイルスの場合、加熱すれば安心というわけでもないのが、恐ろしいところです。ノロウイルスへの対策としては、食品に対して、85度以上の加熱を1分30秒以上続けることが推奨されています。また、ノロウイルスは、アルコール消毒にも強いので、とにかく、しっかりとした手洗いが必要になります。
ノロウイルスというと、カキなどの食材に多いイメージがありますが、カキなどの二枚貝が起因のノロウイルスへの感染は10%以下のようです。ノロウイルスは、実は、それに感染した人の嘔吐物や糞便などを通した、ヒトからヒトへの感染経路がもっとも危険なのです。
当然、調理器具をしっかりと洗うことも大事です。また、生肉を切ったりするのに使う調理器具と、その他の食材に使う調理器具をごっちゃにしないことも大事です。とにかく、手洗いを徹底することが大事であり、家族内で感染者が出てしまった場合は、嘔吐物などの処理にも細心の注意が必要となります。
介護業界は、他の業界よりも、毎年、食中毒の恐ろしさに直面している業界です。食中毒は、冬場にこそ注意しなければならないことも、よく知っています。介護業界は、これを、世間に対して啓蒙すべき立場にあることを忘れるべきではありません。
嘔吐物や糞便の処理に関しても、介護業界で働く人々は、日々、トレーニングを受けています。草の根でも十分な効果が期待できるので、周囲に、食中毒の恐ろしさと同時に、それへの対策について、教育者として活躍してもらいたいです。
もちろん、医療の現場でも、こうした啓蒙活動は続けられてきました。しかし、一般の人と医療との関わりは、病気や怪我になったときに限られます。その点、介護は日常の中にありますから、一般の人との接触もより頻繁です。介護業界こそ、ヘルスケアの最前線であると認識し、食中毒の低減を推進していきたいものですね。
※参考文献
・日本経済新聞, 『冬こそ怖い食中毒 見た目新鮮でも高齢者ら注意 十分に加熱、手洗い入念に』, 2018年10月17日
・へるすりさーち, 『食中毒は冬に多い! ノロウイルスに注意しよう。』, 2017年1月
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