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孤食(一人で食事をとること)が健康にとってよくないことは、広く知られています。栄養バランスが悪化しがちなだけでなく、孤独感がそれに上乗せされることで、健康を急速に悪化させる可能性があるのです。そうしたことから、できる限り、誰かと一緒に食事をすることが大切です。
そして「うちは家族が同居しているから大丈夫だろう」と考えているなら、それは間違いであることもわかりました。しかも、このリスクは、高齢の女性にはなく、高齢の男性だけの場合だったのです。以下、日経新聞の記事(2017年3月27日)より、一部引用します。
家族などと同居しているが食事は1人で――。そんな高齢男性は家族と一緒に食事をとっている人に比べ、死亡リスクが5割高くなることが、東京医科歯科大学の谷友香子研究員らの調査でわかった。谷研究員は「家族と一緒に住んでいれば食生活は安心とはいえない。対策を検討する必要がある」と話している。(中略)
年齢や健康状態、経済状況の影響を除いて解析したところ、誰かと同居して一緒に食事をしている男性より、死亡リスクが1.5倍高かった。高齢女性についてはこうした差はなかった。
そもそも独居の場合は、孤食がよくないという配慮がなされていることが多いものです(とはいえ、完全に孤食が避けられるわけではありませんが)。しかし、家族と同居していたり、介護施設などで食事をしている場合、孤食については考えられていない場合もあるでしょう。
たとえば、家族と同居している場合は(1)普通の食事と介護食の2つを準備しなければならない(2)介護食の準備には結構な時間がかかる(3)同居しているとはいえプライバシーもある、といった理由から、要介護者が孤食になっていることがありえます。
また、介護施設であっても、みんなで食堂に集まって食べていたとしても、周囲に仲間と呼べるような人がいないため、孤食になっている可能性もあるでしょう。それに気づいても、介護施設の職員も足りない人数で頑張っているため、そこまでケアできていないこともありえます。
すこし寂しい感じもありますが、鏡に映った自分をみながら食事をすると、孤食の問題は緩和される可能性があります。名古屋大学の研究によれば、鏡に映った自分の姿を見ながの食事は、鏡を見ないでの食事よりも、食べ物の味をおいしく感じられるというのです(マイナビニュース, 2017年)。
また、この研究では、それが静止画でもよいということが判明しています。つまり可能性としては、鏡に映った自分ではなく、大切な誰かの写真を前にしながら食事をしたほうがよいかもしれないのです。
いまはまだ夢物語ですが、究極的には、食事は、趣味や価値観のあう仲間とバーチャル空間でつながりながらするようになるかもしれません。そうした未来には、孤食というのはなくなっているでしょう。しかし、そうした未来が実現されるまでは、写真を活用することが、短期的な改善につながるかもしれません。
※参考文献
・日本経済新聞, 『家族同居でも孤食なら…死亡リスク5割高 高齢男性』, 2017年3月27日
・マイナビニュース, 『鏡に映った自分を見ながら食事をすると、美味しく感じることが判明- 名大』, 2017年5月29日
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