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介護にまつわる話は、その多くが、介護をする側のことです。介護をされる側の視点での話は、なかなか一般には耳にすることがありません。しかし、介護をされる側にとっても、介護は大きな負担であり、深刻な問題であることは当然です。
そんな中、認知症と診断された人(本人)のためのガイド『本人ガイド』(PDF)が完成し、配布されています。以下、日高新報の記事(2018年4月5日)より、一部引用します。
厚生労働省の事業で、御坊市介護福祉課の谷口泰之係長が委員の一人として作成に取り組んでいた、認知症診断直後に役立つ「本人ガイド」が完成した。谷口係長は「認知症になってもこんなことができる」という本人視点で積極的に意見や提案を行い、御坊の取り組み事例もガイドに盛り込まれている。(中略)
これまで、認知症と診断されてから支援を受けるまでの手引きがなかったことから、初めて本人ガイドを作成することになり、全国から団体代表ら12人を作成チームのメンバーに選出。その1人に、認知症支援で全国先進地の御坊市から谷口係長が選ばれていた。(中略)
内容は「一日も早くスタートを切ろう」「これからのよりよい日々のために」「あなたの応援団がまちの中にいる」「わたしの暮らし」の4つ。それぞれの項目別に「町に出て味方や仲間と出会おう」「やりたいことにチャレンジしよう」「できないことは割り切ろう、できることを大事に」などとアドバイスしている。(後略)
この認知症と診断された人(本人)のためのガイド『本人ガイド』(PDF)の13ページには「あなたの応援団がまちの中にいる」という記述があります。これはとても重要な認識で、とにかく、認知症になっても孤立してしまうということはありません。
また、認知症と生きるイベントとしては、RUN TOMORROW(RUN伴)という企画に注目してみるとよいかもしれません。日本では最大規模のイベントで、参加者、運営、支援者など、合わせると数千人規模になっています。
2025年には、約700万人の人が認知症と診断されていると予想されています。残念ながら、いまのところ、この認知症の根本治療は確立されていません。しかし、これだけ多くの人が、同じ苦しみを抱えながら生きているという認識を持つことは大切です。
社会もまた、少しずつですが、そうした状態を「当たり前のもの」と認識していきます。メガネをかけている人をおかしいと感じないように、認知症とともに生きる人のことも、この社会は受け入れていくようになるはずです。
そういう社会は、ただ出現するのを待っているという立場もあるでしょう。ですが、自分もそうした社会の出現を後押しするという立場もあります。少しでも多くの人が、認知症があっても幸福のうちに生きられる社会の出現に貢献していくことができたら素敵です。
※参考文献
・日高新報, 『認知症本人ガイド全国版が完成』, 2018年4月5日
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