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定年退職をして、仕事をやめてしまうと、一気に元気を失い、要介護状態になってしまう高齢者は少なくありません。定年後の生活には、一般に「悠々自適」「毎日が日曜日」「趣味に没頭する日々」といったイメージがあります。しかしその現実は、孤独と退屈に支配されることも多いのです。
仕事を続けていれば、適度な緊張や刺激もあります。規則正しい生活と身だしなみへの注意もあります。通勤はちょっとした運動ですし、同僚との飲み会などもまた社交として日々を彩ることになるでしょう。仕事をやめてしまうと、こうしたことが全て失われてしまうのです。
もちろん、過度にストレスのかかる仕事を続けることは健康によくありません。同時に、過度にストレスのない状態に置かれることも、健康を損なうことにつながるのです。その意味で、これからの時代は、年金財源の問題もあって、定年のない社会に向かっていくことになるでしょう。
「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」は、法的には介護施設ではないのですが、実質は介護施設化しつつあります。これはこれで問題ではありますが、一般の高齢者からすれば、ある意味で便利ですし、選択肢として必要なものになっています。
この「サービス付き高齢者向け住宅」に対して、いま、「仕事付き高齢者向け住宅」という概念が注目されつつあります。簡単に言えばこれは、高齢者に対して様々なサービスを提供してくれる住宅が、高齢者に仕事も与えてくれるというものになります。主体となって進めているのは、経済産業省になります。
ここで提供される仕事は、できるだけ、高齢者の要望にそったものであるべきでしょう。畑仕事でもよいし、子供と関わる仕事でもよいと思います。問題は、それだけ多くの選択肢を準備できるかというところです。選択肢の数は、QOL向上の鍵であり、非常に重要なことだからです。
「仕事付き高齢者向け住宅」という概念は、まだまだ、実験段階にあるものです。これに、世間一般に通用する定義があるわけでもありません。実態は、介護施設などで介護サービスを受けている高齢者が、なんらかの仕事に従事することで、サービスを提供することも行うというイメージのものです。
ただ、今後の日本は、とにかくどこも人手不足という状態が前提となります。特に、元気な高齢者が、介護を必要とする高齢者のケアを行うという形は、どの業界よりもひときわ人手不足が深刻な介護業界にとって、必要なものになってきています。
仕事を通して、健康でいられる期間が長くなれば、日本の人手不足が改善するだけでなく、医療費や介護費も抑制されます。これはまだ夢物語ではありますが、一本筋の通った仮説なのです。もし、これが夢物語のままであれば、日本の未来は本当に恐ろしいことにもなってしまいます。
※参考文献
・日経デジタルヘルス, 『「仕事付き高齢者向け住宅」ってどんなもの?』, 2018年4月25日
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