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本来であれば、介護施設に入居すべき高齢者は多数います。しかし、介護施設への入居には、それなりの金額のお金が必要になります。そうしたお金が準備できず、自宅でギリギリの状態で介護されている高齢者は、これからますます増えていくことになるでしょう。
しかし、そうした高齢者は、日常生活にも多くの支援を必要とします。介護事業者からすれば、訪問して、そうした支援を続けるのは、効率的とは言えません。可能であれば、介護施設に入居できないにしても、そのような高齢者の自宅が密集していてくれたら、訪問が効率的になります。
重度の要介護者であり、かつ、介護施設には入居できないという高齢者が、シェアハウスで共同生活をしてくれていたら、理想的です。介護事業者からすれば、一度に多数の要介護者の介護をこなすことが可能になります。要介護者からしても、他者と一緒に生活することは刺激になり、介護の重度化予防になります。
ノルウェーやオランダといった北欧では、すでに、高齢者と若者が共同生活をするという異世代シェアハウスの取り組みが進んでいます。日本でも、そうした動きがあり、注目を集めてきました。この取り組みが、いま、福島でもはじまっています。以下、JIJI.comの記事(2018年5月21日)より、一部引用します。
若者向けのイメージが強いシェアハウス。高齢化が進む中、福島県伊達市は2015年から高齢者用のシェアハウスを運営している。中山間地域で1人暮らしをしていた高齢者を市街地に呼んで孤立を防ぎ、家族のように助け合う形を目指している。(中略)
シェアハウスは平屋建てで、1DKと2DKの個室が各3部屋。他に共用のリビングとキッチンがある。一般的なシェアハウスと異なり、各部屋にもトイレや浴室、キッチンを備える。入居者は60歳以上で、家賃は1DKが月1万2600円、2DKが1万6500円。市によると、自治体が運営する高齢者用シェアハウスは珍しいという。(後略)
無届けの介護ハウスが問題視されて久しいです。無届けの介護ハウスとは、実質的には介護施設なのですが、法的には介護施設ではなく、高齢者のシェアハウスという立て付けになっている介護事業者です。
こうした無届けの介護ハウスは、法的にはグレーな存在です。しかしすでに、自治体や医療機関などからは、貯蓄の少ない高齢者のための介護施設として実質的には認められています。そのため、こうした無届けの介護ハウスには、自治体や医療機関から紹介されて入居する高齢者も少なくありません。
問題視されてきた無届けの介護ハウスも、今回ニュースになっている高齢者のためのシェアハウスも、違いは(ほとんど)ありません。今回のニュースのように、自治体が運用する場合はOKで、そうでないと問題視されるというのは、おかしな話でしょう。
今後は、無届けの介護ハウスに、もっと自治体が関与して、正式に高齢者向けのシェアハウスとして認可していくことを検討すべきではないでしょうか。自治体の認可があれば、無届けと言われてきた介護事業者も安心して経営に専念することができて、より建設的だと思われます。
※参考文献
・JIJI.com, 『シェアハウスで高齢者も支え合い=自治体が運営、孤立防ぐ-福島』, 2018年5月21日
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