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介護施設(老人ホームなど)への入居をする場合、通常は、連帯保証人を設定することが求められます。理由は簡単で、入居者のお金が底尽きたり、または認知症などで支払い能力が滞ったりした場合に、介護施設側がとても困ることになるからです。
介護施設で働く人々としても、お金がなくなったら、即、退所させるというわけにも行きません。入所者の中には、身寄りのない高齢者もいますし、介護施設に入所するときに、自宅を売り払っていて、もはや自宅がないという高齢者もいます。そんなわけで、介護施設の入所者には、連帯保証人の設定が、どうしても大事なことになります。
ところが、入所者からすれば、誰かに連帯保証人をお願いするというのは、心苦しいものです。たとえそれが家族であったとしても、迷惑をかけたくないという気持ちから、どうしても連帯保証人の設定はしたくないというケースもあります。もちろん、身寄りがなく、そもそも連帯保証人が見つけられないということもあるでしょう。
こうした背景をうけて、SOMPOホールディングス(旧損保ジャパン日本興亜ホールディングス)は、連帯保証人がなくても入居できる介護施設を準備しつつあるようです。以下、読売新聞の記事(2016年10月27日)より、一部引用します。
高齢者が有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居する際、家賃や食事サービス料などの支払いを保証するため、原則として連帯保証人が必要だ。ただ、独身者や、家族に負担をかけたくないなどの理由で、保証人を立てられない事例が増えているという。
新サービスでは、SOMPOHD傘下の損害保険ジャパン日本興亜が、高齢者施設に対し、入居費用の滞納があった場合、保証会社を通じて料金を1年分保証する。保証料は入居者の入居費用に上乗せする。例えば、SOMPOHD傘下の施設で、入居料が月30万~50万円程度の場合、入居者は入居料を月数千円多く支払えば、連帯保証人なしで入居できる。
SOMPOホールディングスは、その傘下にSOMPOケアメッセージ(約17,000室)とSOMPOケアネクスト(約8,700室)を持ち、合計で約25,700室という国内でも最大の介護施設運用者でもあります。それだけに、連帯保証人の問題は、日常的に発生していたのでしょう。
介護施設運用では業界最大手の介護事業者が、毎月の入居料を数千円多くもらう(支払いが滞った場合の保険としてのお金)ことで、連帯保証人なしでの入居を進めていくことは、大きな意味があります。
そもそも、連帯保証人の問題で悩む人は、介護施設への入居を考えている人だけではありません。一般の不動産だったり、高額なものをローンで購入する場合だったり、企業として借金をするときなど、様々な場面で、連帯保証人が求められることがあります。
こうしたとき、連帯保証人を設定しなくても、代わりに今回のような保険に入ることでOKとなれば、とても助かる人も多いと思われます。このような保険が多数生まれ、保険会社間での競争が激しくなれば、価格もお手頃な保険が出てくるでしょう。
連帯保証人になったことが原因で、自己破産といった法的整理をすることになってしまった人は、発生している法的整理全体の25%程度にもなるという調査結果(日弁連・消費者問題対策委員会による)があります。連帯保証人になるということは、それだけリスクのあることなのです。
連帯保証人というのは、お金を借りたりする本人と、法的に同じ責任を負います。ですから、いざというときは、お金を借りた本人に代わって、連帯保証人が、お金を返済しなければならなくなります。連帯保証人が、これを拒否することはできません。
気軽に連帯保証人になることがいかに危険なことか、強調してもしきれないほどです。こうした考えが社会に浸透してきているからこそ、連帯保証人を探すことが難しくなってもきているのです。そこで、今回のSOMPOホールディングスが発表した保険のようなものが、とても重要になってくるわけです。
※参考文献
・読売新聞, 『高齢者施設の入居料保証…SOMPO、滞納時に』, 2016年10月27日
・SOMPOホールディングス, 『介護・ヘルスケア事業』(ホームページ)
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