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子育てと介護を同時に行っているダブルケアで大変な想いをしている人は、全国に25万3千人もいます。そして、これから子育てが終わるまでにダブルケアを経験する人は、割合として、3人に1人になるともいわれています。
データを見ると、ダブルケアを行っている人は、男女ともに40歳前後の割合が一番高くなっています。職場では中間管理職を担っているケースも多く、働き盛りの世代と一致します。介護と仕事、子育てと仕事の両立自体の負担は大きく、両立に失敗してしまうケースも増えているようです。
子育ても介護も、どちらも、日本の未来を決める、社会課題です。こうした社会課題を、個人の問題として片付けてしまうことはできません。どうしても、ダブルケアを行っている当事者に対して、具体的な支援が必要になってきます。
こうした現状を受けて、先日の都議会において、ダブルケアの提案があがりました。行政の場で、ダブルケアが問題として認識されていること自体は嬉しいことです。以下、Yahoo!Japanの記事(2018年9月28日)より、一部引用します。
9月27日に開かれた東京都議会で、都民ファーストの会の後藤奈美議員は「先進的な自治体ではダブルケアの相談窓口の開設や、育児と介護の相談ができる専門家の養成などを進めている」として、今後の東京都の対策について質問しました。(中略)小池知事は「育児と介護の連携をさらに深め、福祉政策を総合的に展開していく」と答弁しました。
今後、大介護時代に突入する中、晩婚化も重なっているため、ダブルケアに苦しむ世帯は更に増えていくでしょう。しかしいまのところ、多くの自治体において、介護と子育ては、それぞれに別の窓口が設置されているような状況です。いわゆる縦割り行政になっており、ダブルケアに関する情報は得にくいままなのです。
今回、都議会で提案された「ダブルケアの相談窓口」は、ダブルケアに苦しむ人にとって、希望になりえます。もちろん、ただ窓口が設置されることではなくて、そこでは具体的な支援が受けられる必要があります。とはいえ、まずは窓口が設置され、ダブルケアの支援ニーズが把握されていくことが大切でしょう。
これからの日本は、人口減少にともなって、労働力人口が激減していくことは避けられません。そうした近未来の日本において、働き盛りの人が、ダブルケアによってその活躍が阻害されてしまうことは、社会にとって大きな損失です。
依然として、ダブルケアに対して具体的な支援を提供できている自治体は皆無に等しい状況です。しかし少しずつではあっても、全国の自治体でダブルケアの問題が認知されてきています。都議会でのちょっとした提案ではあっても、これはダブルケアに苦しむ人にとっては希望であり、大いに期待しています。
※参考文献
・Yahoo!Japan, 『育児と介護「ダブルケア」連携強化の方針 小池都知事』, 2018年9月28日
・相馬直子, 山下順子, 『ダブルケアに関する調査2018』, ソニー生命保険株式会社, 2018年
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